スランプに陥ったダービー馬レイデオロ。ジャパンCでの復活はあるか (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 ただそれにしても、内容のないレースでした。道中は後方を追走。3コーナー過ぎから徐々に進出し、直線に入ってから前を追いかけたものの、逃げた馬をとらえ切れず、逆にゴール前で2、3着馬にかわされてしまいました。GI馬そろったメンバー構成ならともかく、GIIレベルの弱いメンバー相手にこのレースですからね......。

 何より気になったのは、馬自身に戦う姿勢が見えなかったこと。いい時は、もっと唸るような気合があったのですが......。オールカマーの時はファイティングポーズさえ取らないまま、リングに上がっているように見えました」

 馬体重は前走比で増減なし。この記者によれば、馬体的にはある程度仕上がっていて、走れる態勢にはあったという。それでも、結果が出なかったのは、「精神的なものが大きいのではないか」と、同記者は分析する。

「原因をたどれば、今年のドバイにあると思います。当地でドバイシーマクラシックに出走。その際にレイデオロは、何かで自信をなくすとか、走るのが嫌になるといった体験をして、それがずっと尾を引いているように見えます。

 馬体に問題があって、成績が上がらないのであれば、そこが治れば走れます。でも、精神的なダメージというのは、回復が難しい。それでダメになった馬は、この世界では何頭もいます。要するに、この間の低迷の原因が精神的なもので間違いなければ、レイデオロの巻き返しも、現状では厳しいと言わざるを得ません」

 とはいえ、レイデオロの巻き返しの可能性がまったくないわけではない。

 その根拠のひとつは、JRAが発表した出走馬のレーティングである。レイデオロだけが120ポンドを上回る121ポンドをマークし、ランキングの1位になったことだ。

 このレーティング自体、あくまでも参考値にすぎないが、今回はその程度のメンバー構成であること。すなわち、メンバーに恵まれたレースであることは間違いない。

 もうひとつの根拠は、レイデオロが最も得意とする東京コースに舞台が変わることだ。

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