エリザベス女王杯は4歳馬が手薄。勢いのある3歳馬でより有力なのは? (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo/AFLO

秋華賞で勝利したクロノジェネシス秋華賞で勝利したクロノジェネシス 秋華賞はオークス以来約5カ月ぶりの出走で、プラス20キロと大幅な馬体増で重め残りも心配されたが、結果的には成長分ということで大きな悪影響はなかった。今回はさらなる上昇も期待できるだろう。

 一方のラヴズオンリーユーは昨年11月のデビューから4連勝で、前走のGⅠオークス(東京/芝2400m)を勝利。勝ちタイム2分22秒8は、2012年のジェンティルドンナの記録を0秒8破るレースレコードだった。この秋は当初、秋華賞からの始動を予定していたが、爪の不安もあり回避。今回がオークス以来約6カ月ぶりの出走となる。

 過去、このレースを6カ月以上のレース間隔で勝利したのは、8カ月ぶりだった2001年トゥザヴィクトリー1頭。同馬は当時5歳で、前走はUAEの世界的大レース・GⅠドバイワールドC(ダート2000m)で2着。エリザベス女王杯が17戦目で、多くの大舞台でキャリアを重ねていたのは大きなポイントだろう。

 また、ラヴズオンリーユーは今回が5戦目。このレースの勝ち馬の過去最少キャリアは、2002年ファインモーションの5戦(6戦目)で、前走の秋華賞を勝って臨んでいた。キャリア4戦以下で出走した馬は過去に2頭が出走しているが、2011年レーヴディソールが11着、2014年オメガハートロックが17着といずれも大敗を喫している。

 これらのデータから、エリザベス女王杯に関しては「レース間隔が空いている」ことと「キャリア不足」はマイナス要因になると考えられ、ラヴズオンリーユーは強く推しにくい。オークスではクロノジェネシスに2馬身半以上の差をつけたが、今回はクロノジェネシスのほうが有力だろう。

 3歳馬と古馬という点では3歳を上に見るが、古馬であればポンデザール(牝4歳/美浦・堀宣行厩舎)が気になる存在だ。重賞初出走で7戦4勝と実績は劣るものの、昨夏から4連勝中。前走の丹頂S(札幌/芝2600m)では、斤量50kgの軽ハンデとはいえ3馬身半差で圧勝して見せた。

 半兄のサトノクラウンはGⅠ香港ヴァーズ(芝2400m)を勝ったほか、今回と同距離のGⅠ宝塚記念(阪神/芝2200m)、今回と同じ舞台のGⅡ京都記念(京都/芝2200m)を勝利している。さらに父ハーツクライは、昨年の勝ち馬リスグラシューの父。血統的にも好材料が多い。

 以上、今年のエリザベス女王杯はクロノジェネシスを本命に、穴としてポンデザールを挙げたい。

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