キタサンブラックの全弟、エブリワンブラックは初陣から天才が騎乗 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 大きな注目を集めた引退レース、有馬記念の走りもすばらしかった。いつもどおり先頭に立つと、最後まで気持ちよく走り切って、あと一歩で逃してきたタイトルをついにモノにした。こうして、この年もGI4勝を挙げたキタサンブラック。2年連続の年度代表馬となり、華々しく引退した。

 これほどの名馬と、まったく同じ血統のエブリワンブラック。無論、デビュー戦で鞍上を務めるのは、武豊騎手だ

 その初陣は、10月27日の2歳新馬(東京・芝1800m)。ここまで入念に調教を重ねてきたが、同馬に対するスタッフの評価はどれほどのものなのか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「エブリワンブラックは一度、春先に入厩したのですが、武調教師によると『ゲート試験は合格したものの、スタートの出がもうひと息だったので、一度放牧に出した』とのこと。そして今回、トレセンに戻ってくると、ゲートは向上していました。おかげで、武調教師は『夏場、無理しなかったことで、心身ともに成長した』と満足気。体もしっかりしてきて、『いい雰囲気になった』と確かな手応えをつかんでいるようでした」

 調教の動きについて、武調教師はおおむね満足しているようだ。トラックマンが続ける。

「ここ2週間は、武調教師が自らまたがって追い切ったのですが、『動きはよく、新馬戦を走れる態勢は整った』と話しています。気性的な悪さもまったくなく、性格は非常に穏やかなようです。『2歳戦向きの馬ではないかもしれないが、血統からも期待の大きな馬』と、武調教師。デビュー戦は東京・芝1800mで、キタサンブラックのデビュー戦と同じ舞台ですから、余計に期待が膨らみますね」

 武豊騎手が手綱をとって初陣を迎えるエブリワンブラック。いきなり兄キタサンブラックを彷彿とさせる走りを見せてくれるのか、注目である。

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