天皇賞・秋はアーモンドアイが盤石。サートゥルナーリアには不安材料 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo/AFLO

 このように、3歳の実績馬はこのレースでも通用はするものの、惜敗するケースが多い。勝利しているのは、先ほども紹介した藤沢和雄厩舎の2頭。それぞれのレースの出走馬を見ると、バブルガムフェローが勝った1996年は1番人気がサクラローレルで、2番人気がマーベラスサンデー。前者は長距離寄りで2000mがベストというタイプではなく、後者はGⅠ初出走だった。また、シンボリクリスエスが勝った2002年は1番人気が牝馬のテイエムオーシャン、2番人気が6歳を迎えた菊花賞馬ナリタトップロードと、いずれも絶対的な存在ではなかった。

 しかし今回は、「現役最強馬」アーモンドアイが立ちはだかる。サートゥルナーリアもかなり強い馬だが、まだ成長途上な印象もあり、すでに歴代最強クラスのパフォーマンスを見せているアーモンドアイに比べると劣ると言わざるを得ない。4着だった日本ダービーは万全な状態ではなかったとはいえ、左回りで勝利がないのも不安材料のひとつだ。

 アーモンドアイはこの東京コースで4戦してジャパンC、GⅠオークス(芝2400m)を含む3勝を挙げており、今回と同じ距離の秋華賞でも豪快な追い込みで強い競馬を見せている。1600mだと忙しい印象もあるので、今はこのくらいの距離がベストだろう。約5カ月ぶりの実戦となるが、これは予定どおりで、昨秋もオークスから約5カ月を空けた秋華賞で快勝している。ここまでを見ると、アーモンドアイとサートゥルナーリアの対決は、アーモンドアイに分があると見ていい。

 2頭のほかに面白い存在を挙げるとすれば、ユーキャンスマイル(牡4歳/栗東・友道康夫厩舎)だ。重賞勝ちはGⅢダイヤモンドS(東京/芝3400m)、GⅢ新潟記念(新潟/芝2000m)の2勝と、このメンバーに入るとやや格が落ちるが、前走の新潟記念を勝ったばかりで勢いがある。

 父キングカメハメハ、母の父ダンスインザダークという配合は、2015年の勝ち馬ラブリーデイと同じ。GⅠ菊花賞(京都/芝3000m)でも3着の好走歴があり、ダイヤモンドSで33秒4、新潟記念で33秒6と、非凡な瞬発力の持ち主でもある。人気馬がハイペースに巻き込まれて失速したら浮上してきそうなタイプであり、押さえておきたい1頭だ。

 以上、今年の天皇賞・秋はアーモンドアイを中心視し、穴馬としてユーキャンスマイルの好走にも期待したい。

■平出貴昭 著
『覚えておきたい世界の牝系100』(主婦の友社)

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