菊花賞は春の実績馬が手薄。夏の上がり馬2頭に一発チャンスが膨らむ (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 しかしながら、皐月賞馬で、神戸新聞杯を勝ったサートゥルナーリアには、「菊花賞に出てほしかったな」という気持ちがあります。この馬も、もともと菊花賞には向かわないことを決めたうえで神戸新聞杯を使ったようですが、2番手で折り合って、早め先頭から後続を3馬身もちぎったあの勝ち方を見ると、3000mでも対応できるのではないか? と思いましたからね。

 GI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)での、アーモンドアイやダノンプレミアムとの対決も楽しみですが、淀の3000mをどう乗りこなすのか見てみたかった、というファンも多かったのではないでしょうか。

 何はともあれ、春の実績馬がこぞっていなくなってしまった今年の菊花賞。となると、春に世代の中心として活躍したヴェロックス(牡3歳)は、迎え撃つ立場として負けられないでしょうね。

 皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)では、勝ったサートゥルナーリアとはアタマ差の2着。ダービー(5月26日/東京・芝2400m)では、サートトゥルナーリアを逆転し、1着ロジャーバローズ、2着ダノンキングリーに次ぐ3着でした。どちらのレースでも、菊花賞に出走する馬の中では最先着の成績です。

 先週のGI秋華賞も、桜花賞馬、オークス馬不在のなかで行なわれ、結果的に春のGIで上位に来ていた馬たちが上位を独占。勝ったクロノジェネシスは、桜花賞も、オークスも3着で、惜しくも春の戴冠を果たせなかった馬でした。

 ヴェロックスも同じように、春の二冠はわずかに及びませんでしたが、今回は悲願のGI制覇に向けて、とても大きなチャンスを迎えていると思います。

 翻(ひるがえ)って、関東馬で最も注目されているのは、ニシノデイジー(牡3歳)。ただこの馬には、個人的にあまり食指が動かないんですよね。

 ダービーでは、内から脚を伸ばして5着。2歳時にはクラシック戦線の中心を張っていた馬ですから、能力は高いと思います。クリストフ・ルメール騎手への乗り替わりが発表された際には大きな話題となって、一段と人気を集めることになりました。

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