菊花賞1番人気に押し出された
ヴェロックス。不安は距離よりむしろ...

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 GI菊花賞(10月20日/京都・芝3000m)のトライアル、GII神戸新聞杯(9月22日/阪神・芝2400m)は、勝ったサートゥルナーリアの強さばかりが目立った。

 だが、そのサートゥルナーリアは菊花賞には向かわず、古馬相手のGI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)に挑戦することを早々に表明した。

 さらに、この世代のもう1頭の実力馬、GI日本ダービー(5月26日/東京・芝2400m)2着のダノンキングリーも、秋初戦のGII毎日王冠(10月6日/東京・芝1800m)を快勝しながら、菊花賞も、天皇賞・秋もスルーして、次走はGIマイルCS(11月17日/京都・芝1600m)に向かう予定だという。

 また、これら2頭を抑えてダービー馬となったロジャーバローズは、浅屈腱炎によって、すでに引退している。

 こうして今年の菊花賞は、世代上位の能力、あるいは実績を持つ面々がこぞって"不在"という、やや残念なメンバー構成で行なわれることになった。

 こうなると、実績的に大威張りの存在となるのが、GI皐月賞(4月14日/中山・芝2000m)2着、ダービー3着のヴェロックス(牡3歳)。前走の神戸新聞杯でも、サートゥルナーリアにこそ屈したが、3着馬には1馬身4分の1差をつけて、それ以外の馬とは力差があることを証明した。

 今や、この馬が牡馬クラシック三冠の、最後の一冠の大本命であることは、およそ衆目の一致するところだろう。

菊花賞に臨むヴェロックスは戴冠を遂げられるか菊花賞に臨むヴェロックスは戴冠を遂げられるか そもそもヴェロックスは、昨夏のデビュー戦(小倉・芝1800m)で2着馬に8馬身差をつける、ド派手なパフォーマンスを披露。その時点で「ダービー候補」と言われた逸材だ。

 その後、2歳時には成績的に伸び悩んだ時期もあったが、3歳になると覚醒し、若駒S(1月19日/京都・芝2000m)、若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)と、クラシックと関わりが深いリステッド競走のオープン特別を連勝した。

 そして前述のとおり、クラシック本番でも皐月賞2着、ダービー3着と奮闘。秋初戦の神戸新聞杯でも2着と力を示した。仮に、サートゥルナーリア、ダノンキングリーら能力上位の馬が出走していたとしても、それらの一角崩しの可能性を秘めた1頭として、有力視されていたに違いない。

 事実、皐月賞ではダノンキングリーに、ダービーではサートゥルナーリアに先着している。

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