秋華賞に挑むダノンファンタジー。
残り一冠獲得へ視界良好、油断なし

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 専門紙記者の見立てでは、桜花賞4着はあくまでも勝ちにいったからこその結果。グランアレグリアがあれほど強い馬でなければ、ダノンファンタジーが馬券圏外に沈むことはなかった、ということだ。

 実際、そのことを示すいい機会となったのが、秋華賞トライアルのGIIローズS(9月15日/阪神・芝1800m)。夏場の休養を経て挑んだダノンファンタジーは、レコードタイムをマークして勝利した。

前哨戦のローズSを快勝したダノンファンタジー前哨戦のローズSを快勝したダノンファンタジー 時計が速かったのは、馬場がよかったことに尽きる。それよりも、注目すべきは、レース内容だ。

 ダノンファンタジーは、もともとテンションが高い。ゆえに、調整が難しい。普段の調教から激しく行きたがって、なだめるのに相当苦労するそうだ。要するに、調教でも、レースでも、ゆっくり走るのが苦手なのだ。

 そんなダノンファンタジーにとって、ローズS前半の流れは、最も苦手なスローペースとなった。案の定、道中では何度も行きたがる素振りを見せた。並の馬なら、これが原因となって、勝負どころで失速したとしてもおかしくない。

 だが、ダノンファンタジーはその前半を何とか堪えて、後半で上がり33秒1の豪快な末脚を炸裂させた。結果、先行する馬たちをゴール前で計ったようにとらえて、先頭でゴール板を通過した。2着、3着馬とは同タイムで、着差はクビ、アタマ差にすぎなかったが、それはあくまでもスローな展開によるもの。

「前半、あれだけうまくいかなかったレースで、それでも、きちんと勝ち切れたのは、能力の高さを示すもの。その意味で、ローズSのダノンファンタジーは、着差以上に強かったと思います」

 専門紙記者はそう語る。

 桜花賞トライアルのチューリップ賞は、何もかもうまくいきすぎた。そのため、本番で足もとをすくわれることになった。

 だが、秋華賞トライアルのローズSは、不得手な展開になりながら、それでもその不利を克服し勝った。これが、桜花賞の時とは違って、必ずや本番で生きる。

 その本番のGI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)への見通しについて、専門紙記者は、こう分析する。

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