エネイブルの凱旋門賞3連覇はアリ。武豊の騎乗馬などその他注目は? (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by REX/AFLO

 パリ大賞を含めた同じコースでの4つの前哨戦は、スローラップになりやすいことを加味しても、タイムが出やすい馬場でありながら2分27秒台を切ることができなかった。これらのレースの勝ち馬は、凱旋門賞で上位を狙えるレベルではないように思えるため、ほかの路線からエネイブルの相手を探していこう。

 まず狙いたいのが、ガイヤース(牡4歳)だ。これまで7戦5勝。GI勝ちは前走のバーデン大賞(ドイツ・バーデンバーデン/芝2400m)のみだが、その勝利が単騎先行から直線では後続を引き離し、14馬身差でぶっちぎる圧勝劇。一方で今年の春には、今回と同じくパリロンシャン競馬場で行なわれた、GIガネー賞(パリロンシャン/芝2100m)でヴァルトガイストに敗れ3着。さらに前走が「ドイツでのレース」というだけで、日本のオッズでは評価を落とすと考えられる。

 しかし、バーデン大賞の勝ち馬は、凱旋門賞でも結果を出しやすい。また、2100mではヴァルトガイストの標的にされたその先行力も、2400mであれば逆に追いかける相手を消耗させやすい。バテるのを待っていては、そのまま逃げ切られる可能性のほうが大きくなるからだ。渋った馬場でのスタミナ勝負に持ち込めば、大金星まで考えられる1頭だ。

 着狙いということでは、ナガノゴールド(牡5歳)とソフトライト(牡3歳)がその候補だ。ともに追い込み馬で、渋った馬場での消耗戦は大歓迎。前者は、2走前のGIIハードウィックS(英国・アスコット/芝2390m)で、GI級のメンバーを相手に、待機策からGI馬デフォーに次ぐ2着に食い込んでみせた。武豊が騎乗する後者は、前走のGIIドーヴィル大賞(フランス・ドーヴィル/芝2500m)で、やはり後方待機策からの直線一気でナガノゴールドに先着の2着と気を吐いている。

 もう1頭は、凱旋門賞を4勝しているオリビエ・ペリエが騎乗するフレンチキング(牡4歳)。目下4連勝ながら、その内訳がカタール1勝、ドイツ3勝と"格落ち"感は否めないが、いずれもフランスからの遠征となると価値も上がる。前走はドイツのGIベルリン大賞(ドイツ・ホッペンガアルテン/芝2400m)で、着差こそ少ないものの、余裕たっぷりに抜け出しての完勝だった。見た目以上に終いの伸び脚を持つ。

 加えて、騎手のペリエはカタール王族である同馬のオーナーと騎乗契約を持つが、凱旋門賞ではほかの"勝負になる馬"を優先させてきた。しかし今回はあえて騎乗することから"勝負気配あり"と見ていいだろう。

 今回の凱旋門賞は、エネイブルの3連覇はもちろんだが、それを追う実力馬たちにも注目したい。

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