スプリンターズSで「2強」を脅かすのは、馬場を味方にできる快速馬 (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 タワーオブロンドンは、前走のGIIセントウルS(9月8日/阪神・芝1200m)の鮮やかな勝ちっぷりを見て、その評価が一変しました。前々走のGIIIキーンランドC(2着。8月25日/札幌・芝1200m)が終わった時点では、スプリント戦なら同レースを勝ったダノンスマッシュのほうが一枚上、と見ていましたが、あんな競馬ができるとなると、優劣をつけるのが難しくなりましたね。

 キーンランドCでは、何となくモタモタしていて、ハミのかかりも悪かったタワーオブロンドン。直線では、内を突いたというより、外を回せるほどの手応えがなかったため、仕方がなく内をセコく回ってきたように見えました。最後は地力で2着まで押し上げましたが、「やはりスプリント向きではないのかな......」というのが、レース後の率直な感想でした。

 ところが、セントウルSでは中団から抜け出して3馬身差の圧勝劇を披露。あの勝ち方には、本当に驚かされました。スプリントレース3戦目で流れに慣れてきたのか、野芝で時計の出る阪神コースが合っていたのか、前半の行きっぷりも、仕掛けてからの反応も、函館、札幌の2戦とはまったく違っていましたからね。

 強いて不安を挙げるなら、サマースプリントシリーズを3戦こなしたこと。とくにセントウルSは急きょ出走を決めた経緯があるらしいので、タイトなスケジュールによる状態面は気になります。それでも、セントウルSでの出来さえ維持できていれば、文句なしに最有力候補の1頭です。

 ダノンスマッシュは、上半期のスプリント王を決める一戦、GI高松宮記念(3月24日/中京・芝1200m)で1番人気に推されました。そこでは4着に敗れてしまいましたが、枠順や通ったコースの有利不利を考えれば、決して悪い内容ではありませんでした。

 実績としては、GIIIを3勝。速い時計も持っているわけでもありませんが、皆が高く評価しているのは、レースのうまさや、いかにもスプリンターという走りからでしょう。

 また、北村友一騎手から川田将雅騎手へと乗り替わった点も、プラスに捉えています。GIII函館スプリントS(6月16日/函館・芝1200m)は除外になって、前走のキーンランドCが川田騎手との初コンビとなりましたが、北村騎手が乗っていた時よりも、よく動いていた印象を受けたんです。

 川田騎手は、今年はレースでの落ち着きがあります。周りがよく見えている分、レース運びや展開の見極めが非常にうまくなっています。ここまで全国リーディングトップを走っているのも納得ですし、ダノンスマッシュのように器用に立ち回れて、反応もいい馬には、ぴったりの鞍上だと思います。

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