スプリンターズSで「2強」を
脅かすのは、馬場を味方にできる快速馬

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 秋の中山開催は、早くも最終週となりました。と同時に、秋のGIシリーズがいよいよ始まります。

 その幕開けを告げるのは、僕も毎年楽しみにしているGIスプリンターズS(9月29日/中山・芝1200m)。スタートからゴールまで目が離せない「秋の短距離王決定戦」です。

 僕も現役時代に一度(2004年)、カルストンライトオとコンビを組んで勝つことができました。結果的には、僕にとって最後のGI、重賞勝利となったレースで、当時のことは今でもよく覚えています。

 あの年は、朝から強い雨が降り続いていて、レース時のコースはかなりの不良馬場となっていました。当時は今ほど馬場整備の技術も進んでいませんから、スタート後、どの馬もまったく前に進んでいかないような状態でした。

 そんな状況にあって、どんな馬場も苦にしないカルストンライトオに乗っていた僕は幸運でしたね。とにかく"(先に)行ったもん勝ち"という馬場でしたから、カルストンライトオ自慢の先行力を生かして、思い描いたとおりの逃げ切り勝ちを果たすことができました。

 さて今年のレースですが、現在の中山競馬場は、僕が勝った2004年とは真逆の、かなり時計が速い馬場状態にあります。その点では、今回も先行馬が有利というレースになりそうです。

 実際、今開催の重賞は、逃げ・先行勢がことごとく制しています。開幕週のGIII京成杯オータムハンデでは、トロワゼトワルがマイル戦の日本レコードを更新して逃げ切り勝ち。2週目のGIIセントライト記念でも、インコース3番手につけていたリオンリオンが内から抜け出して快勝しました。さらに先週のGIIオールカマーも、逃げたスティッフェリオが、「3強」と言われたミッキースワロー、レイデオロ、ウインブライトをまったく寄せ付けず、見事な勝利を飾りました。

 とにかく今の中山は、馬場状態がよく、時計が速くて先行有利です。もともとスプリンターズSは、極端に後ろからの競馬では厳しいのですが、今年はなおさらのこと。速い時計の決着となり、例年以上にスピードや総合力が問われるレースになるのではないでしょうか。

 そうなると、前評判の高いタワーオブロンドン(牡4歳)とダノンスマッシュ(牡4歳)の2頭が、やはり中心になると思います。

 どちらも魅力的な馬で、GI馬になる資格も十分に備えています。どちらを上に取るかは甲乙つけ難く、最終的には土曜日の競馬の傾向や、当日の雰囲気まで見て決めたいところです。

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