春の実績馬が不在のセントライト記念。狙いは人気薄の夏の上がり馬 (3ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 ところで、抽選対象だったにもかかわらず、ルメール騎手が前述のルヴォルグへの騎乗を当初から決めていた、というのが不気味ですね。藤沢和雄厩舎の馬なので、このあとはどういう路線に進むのかわかりませんが、菊花賞に行くにせよ、古馬相手の中距離路線に向かうにせよ、今回好走しないといけませんから、本気度は高いと思います。

 同じような理由で、ミルコ・デムーロ騎手が乗りに来るモズベッロ(牡3歳)も気になります。距離を延ばした前走の1勝クラス(7月20日/中京・芝2200m)で、それまでとは見違えるような走りを見せて完勝。厩舎としても、色気を持っての参戦なのではないでしょうか。

 さて、今回の「ヒモ穴馬」には、ザダルと同じく3連勝中のオセアグレイト(牡3歳)を取り上げたいと思います。

現在3連勝中のオセアグレイト現在3連勝中のオセアグレイト この馬が初勝利を挙げたのは、ダービーの1週前。オークス当日の東京競馬場で行なわれた未勝利戦(5月19日/芝2400m)でした。年明けデビューから6戦を要しましたが、その後はすべてメンバー最速の上がりをマークして3連勝。クラスが上がるごとに内容がよくなっている印象を受けますし、まさしく夏の"上がり馬"といった存在です。

 関係者の話では、ソエが固まったことで体質が強くなり、初勝利のひとつ前のレース辺りから、明らかに馬が変わってきていたそうです。

 これまでのレースを見ていると、非常にスタミナがありそうなタイプ。ですから、本番の菊花賞でも気になる存在なのですが、今年はセントライト記念と神戸新聞杯の結果次第では、収得賞金1500万円の3勝馬でも抽選に回る可能性があるようで、陣営としてはできれば、ここで出走権を獲得したいところでしょう。

 鞍上の野中悠太郎騎手も非常にいい感触を持っていて、前走の2勝クラス・信夫山特別(7月13日/福島・芝2600m)のレース前には、「こんなメンバーに負けては、菊花賞を目指すなんて言っていられない」と、非常に強気なコメントを残していたそうです。

 最初に触れたように、今年のセントライト記念は、例年よりも春の実績馬が手薄です。2勝クラスを勝ったのが福島コースなので、あまり注目されていないようですが、目下の勢いと今年のメンバーレベルであれば、上位に食い込む可能性は十分。どんなレースを見せてくれるか、楽しみにしています。

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