英GⅠに挑むベテラン馬、シュヴァルグランに3つの吉兆あり (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by ZUMA Press/AFLO

 そこで狙いたいのが古馬勢だ。中でもエラーカム(イギリス・牡4歳)は、"大物食い"の可能性を感じさせる。

 母はGⅠを5勝して"天才少女"と謳われたアトラクションで、父は引退まで14戦無敗だった最強馬のフランケルという超絶配合。3歳時のエラーカムは、GⅠ愛2000ギニー(カラ/芝1600m)で1番人気に推されるほどの素質馬だったが、本格化したのは骨折などの休養を経たあとの今年になってからだ。5月以降に3勝を挙げており、1年10カ月ぶりの重賞制覇となった前走のGⅡヨークステークスは、今回と同じヨーク競馬場の芝2050mでのレースだった。

 予備登録はなかったため、インターナショナルステークスには7万5000ポンド(約970万円)の追加登録料を払っての出走となった。そのことからも陣営の本気度の高さがうかがえる。コース適性は証明済み。脚質的にも、有力馬の前で競馬ができるタイプで、有力馬同士がけん制し合う中でうまく出し抜けを決められれば、波乱を巻き起こすことも十分にあり得る。

 また、3歳勢には疑問を呈したが、ブックメーカーのオッズで5番人気のサーカスマキシマス(アイルランド・牡3歳)には食指が動く。脚質からレースを引っ張ることが予想され、4頭出しのエイダン・オブライエン厩舎のペースペーカー役と見られそうだが、ペースメーカーとなっても単なる"捨て駒"にならないのもオブライエン厩舎の恐るべきところだ。

 前々走のセントジェームズパレスSでも早め先頭から、トゥーダーンホットを振り切り、キングオブコメディの追撃も封じた。前走のGⅠサセックスステークス(グッドウッド/芝1600m)ではトゥーダーンホットの逆襲を受けたものの、初の古馬相手のGⅠで2着と好走した。5月には芝2000mのリステッドを勝利しており、距離経験も十分。条件では他の人気3歳馬よりもこちらが有利と見える。

 そして、前走の"キングジョージ"で6着に敗れたシュヴァルグランは、前走後もニューマーケット調教場で調整が続けられている。陣営は前走の敗因を、レース前日午後からの降雨による馬場悪化に求めた。

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