クラシック制覇という一族の
悲願を託された逸材、クロスキーの可能性

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第12回:クロスキー

 3歳クラシックの舞台には上がるものの、タイトルには手が届かない――。そうした馬が多数いる一族にとって、クラシックの栄冠を獲得することは、まさしく"悲願"となる。

 今年も、そんな"悲願"を託された2歳馬がまもなくデビューする。美浦トレセンの国枝栄厩舎に所属するクロスキー(牡2歳/父ハーツクライ)である。

兄姉が果たせなかったクラシック制覇が期待されるクロスキー兄姉が果たせなかったクラシック制覇が期待されるクロスキー 同馬は、間違いなく良血である。その兄姉たちも大いに活躍している。だが、多くの馬がクラシックへと駒を進めながら、勝利を得るまでには至っていない。

 2010年生まれの姉フロアクラフト(牝/父フジキセキ)は、トライアルのスイートピーS(東京・芝1800m)で2着となって、GIオークス(東京・芝2400m)の出走権を手にした。本番では17番人気の評価を覆して5着と健闘したが、勝ち負けを演じるまではいかなかった。

 2011年生まれの姉バウンスシャッセ(牝/父ゼンノロブロイ)は、クラシック制覇に最も近づいたが、あと一歩及ばなかった。同馬は、GIIIフラワーC(中山・芝1800m)を制して、牡馬クラシックのGI皐月賞(11着。中山・芝2000m)に挑んだあと、大本命のオークスに臨んだ。3番人気に推されて、1番人気のハープスター、2番人気のヌーヴォレコルトらと大接戦を演じたが、コンマ1秒及ばず、3着に泣いた。

 2016年生まれのコントラチェック(牝3歳/父ディープインパクト)も期待の1頭だった。たぐい稀なスピードの持ち主で、フラワーCを圧勝。満を持してオークスに挑んだものの、9着に敗れた。

 こうして、これら姉たちの無念を晴らし、一族の悲願達成へ、大いなる期待を寄せられているのが、クロスキーである。無論、姉たちとは違って、牡馬クラシックを目指すことになるが、これまで同馬に関わってきた人々の評価はどんなものなのか。ノーザンファーム早来で育成を担当した木村浩崇氏は、春の取材でこんな感触を口にしていた。

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