上がり馬には負けはせん。エルムSは復活劇を目指す3頭の鼻息が荒い (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 さらに、函館と札幌の微妙なコース形態の違いも、リアンヴェリテへの不安を膨らませると、松田記者は言う。

「函館、札幌はともに小回りで、最後の直線の距離もほぼ同じ。しかしながら、コーナーの緩急に差があります。函館はカーブの半径が小さくて、遠心力が大きいため、前々を進む馬たちに有利な、まさに"先行天国"。一方、札幌は函館よりもコーナーが緩く、3コーナーから4コーナーにかけての加速が殺されにくい特徴があります。そのため、函館よりも札幌のほうが、差し、まくりが決まりやすいと言えるでしょう」

 松田記者はこうしたことを踏まえて、大沼S4着、マリーンS2着だったモズアトラクション(牡5歳)の巻き返しを第一に狙う。

「前2走とも、最後の上がり3ハロンはメンバー最速を記録。その末脚がハマれば、逆転できる力を持っています。今回は、展開の恩恵がありそうなうえ、先にも触れたように、"差しが利く"コース替わりもプラスに働くと思います。

 ただ、同馬は『穴馬』というほどの存在ではないので、より高配当を狙うなら、タイムフライヤー(牡4歳)がオススメ。ここは初ダートとなりますが、未知の魅力に期待しています」

 2歳時にはGIホープフルSを制しているタイムフライヤー 2歳時にはGIホープフルSを制しているタイムフライヤー タイムフライヤーは、2歳時にGIホープフルS(中山・芝2000m)を勝って、クラシックを含めて将来を嘱望されていたが、GI皐月賞(10着。中山・芝2000m)、GI日本ダービー(11着。東京・芝2400m)ともに惨敗。GI菊花賞(京都・芝3000m)も6着に終わって、3歳時以降はここまで7戦して未勝利に終わっている。

「それでも......」と、松田記者は同馬の復活劇に期待を寄せる。

「2走前のGIII中山金杯(1月5日/中山・芝2000m)では、のちに香港でGI勝ちを果たす1着ウインブライトに、コンマ2秒差の5着と健闘しています。また、タイムフライヤーが所属する松田国英厩舎と言えば、2011年のダービー3着など芝でも活躍したベルシャザールをダート路線に転向させ、2013年のGIジャパンカップダート(阪神・ダート1800m)制覇へと導いた実績があります。

 そもそもタイムフライヤーの叔父には、ダートGI5勝のタイムパラドックスがいます。JRAで勝ち上がった兄姉3頭の勝ち鞍も、すべてダート戦。路線変更での同馬の復活があっても不思議ではありません」

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