種牡馬ディープインパクトの後継問題。奇跡の種を持つ馬は現れるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Getty Images

 とはいえ、ディープインパクト産駒の種牡馬はまだまだ少ない。サンプル数が少ない現時点で、そうした危惧を抱くのはさすがに早計だろう。

 また、ディープインパクトの父サンデーサイレンスも、種牡馬生活の後半になってより真価を発揮。「最高傑作」となるディープインパクトにしても、自らが亡くなった2002年に生まれた子だ。

 思えば当時も、サンデーサイレンスの後継が話題になっていた。

「サンデーサイレンス産駒はいずれも劣らぬ一流馬ぞろいだが、種牡馬として、偉大なる父サンデーを超えるような存在はいるだろうか。サンデー産駒から"サンデー級"の種牡馬は出ないのではないか」

 現在の「ディープの後継問題」と同じく、そんな議論が交わされていた。だが、その矢先にディープインパクトが生まれ、やがてターフで衝撃的な走りを披露。種牡馬となってからも、サンデーサイレンスに劣らぬ活躍を見せた。

 そうして、ディープインパクトが初のリーディングサイヤーに輝くと、他のサンデーサイレンス系種牡馬も一段と威力を発揮。2015年のサイヤーランキングでは、ベスト10のうち実に8頭が、サンデーサイレンス産駒が占めるという快挙を果たした。サンデーサイレンスが死んで、13年後のことだ。

 人間社会でも、競馬界でも、やはり歴史は繰り返される――。

 今はまだ心許ないディープの後継も、この先、種牡馬の駒がそろってくれば、ディープインパクト系として真価を発揮するはずだし、その中から「これぞ、ディープの後継馬」という馬が出てくるに違いない。

 それは、今年初産駒がデビューした2013年のダービー馬キズナかもしれないし、2016年の有馬記念で当時の現役最強馬キタサンブラックを負かし、今年から種牡馬となったサトノダイヤモンドかもしれない。また、2014年のNHKマイルCの覇者で、2016年のマイルCSを制したミッキーアイルには、"キンカメ一族"のロードカナロアのような大成が期待されている。

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