ディープインパクトの大成秘話。忘れられない牧場スタッフのひと言 (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kouchi Shinji

 しかし、みんなが"待った"。

 いつか、機は熟す。その時を信じて、待った。

「今思えば、あの時、みんなが"待った"ことが、ディープインパクトをあれだけの馬にしたのかもしれません」

 牧場スタッフがしみじみと言ったそのひと言が、筆者は今も忘れられない。

 競馬には"待つ"ことも必要で、"待つ"ことによって、大きなミラクルを生むこともある。

 そこに、競馬の奥深さの一端を垣間見た気がした。

 ディープインパクトには、本当にさまざまなことを教わった。

 牧場スタッフによれば、その最期は「観念したように、苦しまず、静かなものだった」という。

 合掌――。

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