「走り出すとどこまでもいく」
アメリカの名牝の初子、アルジャンナ

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第10回:アルジャンナ

 すでに活躍馬を多く出している繁殖牝馬の子が、デビュー前から話題となるのは当然のこと。また一方で、現役時代に活躍した名牝の、世に送り出される"初めての産駒"となれば、同様に大きな注目を集める。

 デビューを控えた今年の2歳馬の中にも、そうした注目馬がいる。栗東トレセンの池江泰寿厩舎に所属するアルジャンナ(牡2歳/父ディープインパクト)である。

高いレベルで調整されてきたアルジャンナ高いレベルで調整されてきたアルジャンナ 同馬は、母コンドコマンドの初子となる。コンドコマンドは、アメリカで活躍した名牝。2014年にデビューすると、その年に2歳馬によるGIスピナウェイS(アメリカ・ダート1400m)を快勝し、キャリア早々にGIタイトルを手にした。

 しかも、その内容が圧巻だった。コンドコマンドはスタートで出遅れたが、3コーナー手前で早くも先頭へ。直線に入るとさらに後続を引き離し、終わってみれば、2着に13馬身差をつける圧勝劇を演じたのだ。

 GI勝ちは同レースのみに終わったが、以降、同馬はGIIを2勝し、8戦5勝の戦績で2015年に引退した。その後、繁殖牝馬として来日。リーディング種牡馬のディープインパクトと交配し、生まれた初子がアルジャンナである。

 この若駒は、2017年の競走馬のセリ市「セレクトセール」で1億7000万円(税別)の高値で落札された。それだけでも、同馬への期待の高さがわかる。

 実際、同馬の育成に関わった人たちの評価もすこぶる高い。ノーザンファーム空港牧場の佐々木淳吏氏は、春の取材でこんなコメントを残していた。

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