アイビスSDは「千直」の新時代を築く4歳牝馬があっと言わせる (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 さて、今年のアイビスサマーダッシュですが、まず注目を集めるのは、春の新潟開催で千直2連勝を飾ったライオンボス(牡4歳)でしょう。同馬の存在によって、僕は「今年はいよいよ危ないかも......」と思っています。

「危ない」というのは、カルストンライトオが持つレコードタイムが、「ついに破られるのではないか......」ということです。

 何と言っても、ライオンボスの凄さは、時計の速さにあるからです。

 これまでに18回行なわれてきたアイビスサマーダッシュにおいても、53秒台の勝ち時計での決着は多くはありません。開幕週に施行時期が変わって、より時計が出やすい状況になっても、カルストンライトオの記録は破られなかったですしね。それだけ、千直における53秒台という時計には価値があると思っています。

 ところが、ライオンボスは決して「馬場がいい」とは言えない春の新潟、しかも最終週のオープン特別・韋駄天S(5月19日/新潟・芝1000m)で53秒9という勝ち時計をマークしました。これは、本当に凄いことだと思います。

 初めての千直、2走前の1000万下(現2勝クラス)・邁進特別(5月4日/新潟・芝1000m)で圧勝した内容も含めて、とんでもない"千直の申し子"が出てきたのではないか、と考えています。

 ひとつ気になるのは、斤量がこれまでの53㎏から56㎏に増えることですが、まだまだ伸び盛りの4歳の牡馬。58㎏や59㎏といった重い斤量を背負うならともかく、56㎏程度であれば問題はないでしょう。とにかく、最も注視すべき存在であることは間違いありません。

 新たな千直巧者の挑戦を受けて立つ立場となるのが、昨年の覇者ダイメイプリンセス(牝6歳)です。近走は結果が出ていませんが、1年ぶりの千直で変わってくる可能性は十分にあると思います。昨年は53秒8で勝っているので、時計面でも心配はありません。

 ライオンボスとの比較では、後方からレースを進めるタイプであることが、吉か凶か、どちらに出るかでしょう。前にいる馬を目標にできるのは強みですが、その分、馬群をさばく必要が出てくるので、先行馬に速い時計で押し切られてしまうと、手も足も出ないまま......という結果に終わることもあり得ますからね。

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