宝塚記念は波乱の余地あり。有力GI馬6頭の中に不気味な存在がいる (3ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 この他、今回は横山典弘騎手に乗り替わるエタリオウ(牡4歳)や、ダミアン・レーン騎手が手綱をとるリスグラシュー(牝5歳)も注目なのですが、"穴馬"として注目したいのは、近走で復調気配がうかがえるマカヒキ(牡6歳)です。そこで、この馬を今年の宝塚記念の「ヒモ穴馬」として取り上げたいと思います。

宝塚記念での一発が期待されるマカヒキ宝塚記念での一発が期待されるマカヒキ 2016年のダービー馬であるマカヒキ。その年の秋には、フランスに遠征して凱旋門賞の前哨戦となるGIIニエル賞(フランス・芝2400m)を勝利しました。しかしそれ以降、ずっと勝ち星から見放されています。

 たしかに最近のマカヒキからは、3歳春に見られたような、飛ぶような軽い走りが見受けられず、どちらかというと、長く脚を使う"重戦車"のような雰囲気があります。そのためか、差しては来るんですが、勝負が決したあとに追い込んでくるような、一歩か二歩、遅いイメージになっています。

 ここ2戦も同様の結果に終わりましたが、それでもそれ以前よりは、もうちょっとのことでチャンスがあるかも――と思えるようなレースを見せてくれました。とくに前走の大阪杯(4着)は、GIの舞台でした。しかも、1、2着馬はここでも上位人気に推されるであろうアルアインとキセキ。それらにおよそ1馬身差まで迫った末脚が、1ハロンの距離延長によって、今度は届くかもしれません。

 差し馬に向きそうな、開催最終週の馬場も味方になってくれそうです。岩田康誠騎手が最も得意とするインからさばいて脚を伸ばすことができれば、馬券対象内(3着以内)に飛び込んくる可能性はあります。展開がハマれば、より上位に食い込んでくるかもしれませんよ。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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