宝塚記念は波乱の余地あり。有力GI馬6頭の中に不気味な存在がいる (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 一方、同じドバイシーマクラシック(3月30日)から臨戦してくるスワーヴリチャード(牡5歳)は、ドバイでは好走(3着)しましたが、今回は右回りのレースになることが懸念材料となります。昨年のGI大阪杯(阪神・芝2000m)では、鞍上のミルコ・デムーロ騎手が非常にうまく乗って勝ちましたが、今年初戦のGII中山記念(4着。2月24日/中山・芝1800m)のレースぶりを見ると、右回りに対する不安がまだ残りました。好走するには、乗り方が限定されそうですね。

 この他、有力視されているのは、これら2頭と同世代のGI馬アルアイン(牡5歳)とキセキ(牡5歳)。今年の大阪杯(3月31日)の1、2着馬です。

 アルアインは、大阪杯でようやく2つ目のビッグタイトルを手にしました。同レースではやや恵まれたところがあったと思いますが、勝ち切ったことは地力がある証拠。能力だけなら、上位を争える存在です。

 気になるのは、距離が1ハロン(200m)延びることがどう影響するか。昨年、GIマイルCS(3着。京都・芝1600m)に挑戦しているように、本質的にはマイラーだと思うんです。2200mでどう立ち回るのか、勝ち負けを演じるにはその辺りがポイントになりそうです。

 キセキは、昨秋に馬がワンランク上のステップに成長したように思います。暮れの有馬記念(5着)では、秋シーズン4走目ということもあってか、お釣りが残っていませんでしたが、前走の大阪杯を見る限り、体も回復して完全に復調した感がありました。1回使って、今回はさらに良化が見込めるでしょう。

 一昨年、不良馬場のGI菊花賞(京都・芝3000m)を快勝したように、道悪も難なくこなせると思いますし、同馬の脚質を考えても、今回のレースでは中心的な存在になりそうです。各馬とも、このキセキの動きに合わせて、レースを進めていくことになるでしょうね。

 そういう意味では、勝敗の行方を左右する最も重要な"キーホース"と言えます。鞍上の川田将雅騎手の出方次第で、勝ち馬も変わってきそうですね。

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