「脚もとに不安はない」シルヴェリオ。
兄姉が果たせなかった夢に挑む

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

厳選!2歳馬情報局(2019年版)
第3回:シルヴェリオ

 先週からスタートした2歳戦線。1週目から評判馬が圧勝劇を演じるなど、素質ある若駒が早期にデビューする傾向が近年では高まっている。

 おかげで、このあとも話題の良血馬や素質馬が続々とデビュー戦を迎える。栗東トレセンの池添学厩舎に所属するシルヴェリオ(牡2歳/父ハーツクライ)もその1頭。同馬は、6月23日の2歳新馬(阪神・芝1800m)での初陣を予定している。

 シルヴェリオへの注目が集まるのは、やはりその血統背景にある。日本で生まれた兄や姉がGIや重賞で輝かしい実績を残しているわけではないが、その多くが見る者に強烈なインパクトを与える走りを見せてきたからだ。

 その筆頭と言えるのは、シルヴェリオの4歳年上の半兄シルバーステート(牡/父ディープインパクト)。デビュー戦こそ2着に敗れたものの、その後に未勝利、1勝クラス(旧500万下)の特別戦を圧勝し、2歳秋の時点で「来春のクラシック主役候補」とうたわれた。

 その後、3歳になって屈腱炎を発症。クラシック出走どころか、1年以上の休養を余儀なくされてしまったが、4歳春に復帰すると再び圧巻の競馬を披露。2勝クラス(旧1000万下)で驚異の逃げ切り勝ちを見せると、続く3勝クラス(旧1600万下)でもコースレコードタイを記録して快勝した。いずれのレースでも、最後は流す余裕を見せており、その強さには誰もが度肝を抜かれた。

 だがその直後、またも屈腱炎に見舞われてしまう。その結果、5戦4勝という成績を残して、早々に競走生活を終えることに。オープン入りして"これから"というときだっただけに、多くのファンがその引退を惜しんだ。

 シルヴェリオの2つ上の半兄ヘンリーバローズ(牡4歳/父ディープインパクト)もまた、秀逸な走りを見せる1頭だ。2017年にデビューし、新馬戦2着のあと、未勝利戦では後続に4馬身差をつけて完勝した。ただ、同馬もその後に故障。現在は長期休養中の身にある。

 ヘンリーバローズの強さについては、未勝利戦での大差勝ちよりも、2着に終わった新馬戦のほうが"伝説"として語られることが多い。というのも、ヘンリーバローズはこの1戦で、翌年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)を制したワグネリアンと激突。2頭が3着以下を5馬身離してのデットヒートを繰り広げ、わずかハナ差の勝負を演じたからだ。

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