屈指の切れ者シゲルピンクダイヤ。名物オーナーに破格の夢を届けるか (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 世代トップクラスでも勝ち負けできる器であることを証明したシゲルピンクダイヤ。このあとは、牝馬クラシック二冠目となるGIオークス(5月19日/東京・芝2400m)へ向かう。

 ある意味、「シゲル」のイメージを覆すような存在だが、管理する渡辺調教師は早くからその素質を見抜いていたようだ。その点について、関西競馬専門紙のトラックマンがこう明かす。

「3歳クラシックに出走するには、基本的に前年秋からの特別登録が必要です。森中オーナーは普段、所有馬のクラシック登録をあまり行なわないのですが、シゲルピンクダイヤについては、渡辺調教師からのお願いもあって、登録をしたとのこと。それだけ(渡辺調教師が)この馬を評価していたのでしょう。デビュー戦でも、鞍上を務める和田竜二騎手に『この馬、走るから頼むわ』と依頼したようですよ」

 事実、桜花賞でも2着と好走したシゲルピンクダイヤ。オークスでの勝算はどうなのか。前述のトラックマンはこう語る。

「途中、繋靱帯炎という大きなケガに見舞われました。それでも、急ピッチの調整によって、チューリップ賞出走にこぎつけました。マイナス10kgの馬体重で出走したのもその影響です。

 そんな状況にあって、2着を確保。能力が高くなければ、そこまでの結果は望めません。その後、桜花賞でも2着と善戦しましたから、間違いなく世代屈指の実力馬。オークスでも有力な1頭と言えるでしょう。

 課題はスタートの出遅れや、パドックでテンションが高くなる面など、気難しさを持ち合わせている点。そうした気性が、最後の切れ味にもつながっている気がして、いいほうに出るか、悪いほうに出るかは紙一重だと思っています。

 オークスでは、初の関東への長距離輸送となりますし、歓声が大きいスタンド前の発走。好走へのカギは、それらをうまく乗り切れるかどうか。もしクリアできたなら、戴冠の可能性も十分にあるでしょう」

 渡辺調教師がいち早く見抜いたシゲルピンクダイヤの素質。オークスで、そのすべてが花開き、最高の輝きを放つことができるのか。できることなら、名物オーナーがいまだ立ったことのない大舞台で歓喜する姿を見てみたい。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る