2019.04.29

平成競馬の衝撃。ディープインパクトは
新たなヒーロー像を生み出した

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 繰り返すが、ディープインパクトはダービーの最後の直線を「喜んで走って」、しかも楽々と勝利したのだ。

 それまでの時代にはなかった”新しいヒーロー像”を、その時に見た気がする。

 ストイックに努力して、苦しい状況のなか、粘り強く戦って勝つ――かつてのスポ根ドラマとは、明らかに次元が違う。

 あらゆる手続きを抜きにして、あっさりと勝ってしまう。それこそ、ワンランク上のヒーロー像とは言えないか。

 ディープインパクトの最もすごいところは、易々とダービーを勝って、易々と三冠馬になったこと。少なくとも、そう見せたことにある。

 こんな馬は、過去にはいない。

 だが、それだけの名馬であるディープインパクトに、ふさわしい称号がつけられていないことは残念だ。「怪物」「天馬」「貴公子」「皇帝」というのは、すでに使用済み。武豊騎手は「英雄」がいいと言っていたと聞くが、個人的には「天才」がいいと思っていた。

 ともあれ、過去の名馬にはあった称号やニックネームが、ディープインパクトにつかなかったのは、そのような範疇には当てはまらないほど、ディープインパクトが”破格”だったという証明かもしれない。

 はたして、来るべき令和の競馬では、どんな名馬が登場するのだろうか。