昨秋の菊花賞「再戦」ムードの天皇賞・春。穴馬は持久力勝負の王子様だ (2ページ目)

  • 大西直宏●解説 analysis by Onishi Naohiro

 しかも、同レースで2着に敗れ、その敗因について陣営が「休み明けだから」と語ったことにも、ちょっと違和感を覚えます。そもそも休み明けで結果を残してきた馬ですからね。

 そう考えると、今回のフィエールマンについては、AJCCを使った影響が気になるところです。昨年末、放牧先から早々にトレセンに戻ってきて、厳寒期に調整するはめにもなっていますからね。

 もちろん、何ら影響がなければいいのですが、仮にAJCCの敗戦が尾を引くようなら、菊花賞でフィエールマンの後塵を拝した面々にも逆転のチャンスは大いにありそうです。

 なかでも、菊花賞2着のエタリオウ(牡4歳)は、逆転候補の最右翼。前哨戦のGII日経賞(3月23日/中山・芝2500m)でも2着でしたが、この馬の場合、2着が"最高着順"という見方もできますし、内容も決して力負けといった走りではありませんでした。おそらく陣営も、本番に向けてかなりの手応えを持っているのではないでしょうか。

 同馬はまだ1勝馬ですが、重賞で2着4回と、GI馬と変わらぬ戦績を残しています。「最強の1勝馬」と言え、皮肉もこの夏から変更される競走条件の呼称()に当てはまらない、例外的な存在になりそうですね。
※クラス分けの呼称が、現行「500万円以下」→「1勝クラス」、「1000万円以下」→「2勝クラス」、「1600万円以下」→「3勝クラス」へと変わる。

 菊花賞3着のユーキャンスマイル(牡4歳)も、逆転の目が十分にあります。この馬もまた、エタリオウと同じく勝ち味に遅いイメージがあったのですが、前走のGIIIダイヤモンドS(2月16日/東京・芝3400m)では、鮮やかな勝利を飾りました。

 同レースで鞍上を務めた岩田康誠騎手との手も合っていたのでしょう。少しクセのあるタイプに見えますし、いいジョッキーとめぐり会えた印象があります。勝ち負けを争ってもおかしくありません。

 もう1頭、菊花賞5着のグローリーヴェイズ(牡4歳)も可能性があります。菊花賞では、外枠不利と言われる京都・芝3000mの舞台で大外の18番枠。それだけでかなりのビハインドとなりましたが、レースでも終始外目を回されていました。

 また、そのレースぶりからは1番人気のブラストワンピース(4着)をマークしているように見えました。これも、結果的には仇となってしまったのではないでしょうか。

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