15年前と酷似の天皇賞・春。上位人気の4歳勢を無視して高配当を狙え

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 平成最後のGIレース、天皇賞・春(京都・芝3200m)が4月28日に行なわれる。

 そんな節目の一戦でありながら、登録段階でフルゲート割れ。格上挑戦の馬も参戦するとあって、例年以上に波乱ムードが漂っている。そのメンバー構成を見て、日刊スポーツの木南友輔記者はこんな見解を示す。

「下馬評も含めて(レースの)中心と見られているのは、昨年のGI菊花賞(京都・芝3000m)の1~3着馬(フィエールマン、エタリオウ、ユーキャンスマイル)と、前走重賞勝ちのメイショウテッコン、グローリーヴェイズら4歳勢でしょう。

 こうした状況を見て、頭に浮かんだのが2004年の天皇賞・春。4歳の"4強"が崩れた年です。当時のことを思うと、上位人気を形成する今年の4歳馬たちは大丈夫なのか? という気持ちになりますね」

 木南記者が例に挙げた2004年は、前年の菊花賞で1~4着に入ったザッツザプレンティ(3番人気)、リンカーン(1番人気)、ネオユニヴァース(2番人気)、そしてゼンノロブロイ(4番人気)ら4歳勢が上位人気を独占した。だが、勝ったのは5歳馬イングランディーレ。10番人気という人気薄で、単勝は71倍もついた。

 さらに、上位人気の4歳馬で馬券に絡んだのは、2着に入ったゼンノロブロイだけ。3着にも5歳馬シルクフェイマス(5番人気)が入線し、3連単も21万1160円という高配当となった。

 今年の天皇賞・春は、そのときのイメージがあるという木南記者。無論、狙いは人気の4歳勢以外となる。

「気になっているのは、クリンチャー(牡5歳)とチェスナットコート(牡5歳)です」

 前者は昨年の3着馬で、後者は同5着馬だが、ともにその後のレースはパッとしない。地力はあっても、ここではかなりの人気薄となることは間違いない。それでも、木南記者は以下のように語って、2頭の激走に期待する。


昨年の天皇賞・春でも3着と好走したクリンチャー昨年の天皇賞・春でも3着と好走したクリンチャー「クリンチャーは昨年、年明けにGII京都記念(京都・芝2200m)を制して、GII阪神大賞典(阪神・芝3000m)で3着となったあと、天皇賞・春では見せ場十分の3着でした。

 そして今年、年明け初戦となる前走・GII日経賞(3月23日/中山・芝2500m)では、7着と惨敗。外枠発走で、展開的にも前にいく馬にとっては厳しかったと思います。

 一昨年の秋には、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)で9着と大敗したあと、菊花賞で2着と激変した馬。直前の気配次第ですが、3着となった昨年の走りができれば、今年もいい競馬になるはずです」

 昨秋は凱旋門賞にも挑戦したクリンチャー。潜在的な能力を考えれば、確かに一発あってもおかしくない。

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