2番手争いが大激戦の皐月賞。実績上位馬が人気急落でオイシイぞ (3ページ目)

 評価を下げる要因となったのは、前走の弥生賞で1番人気に推されながら4着に敗れたこと。それでも、重賞2勝は出走メンバーの中では最上位に並ぶ実績です。

 しかも、GIII札幌2歳S(9月1日/札幌・芝1800m)では、前述のクラージュゲリエや、皐月賞トライアルのGIIスプリングS(3月17日/中山・芝1800m)を勝ったエメラルファイトを撃破。GIII東京スポーツ杯2歳S(11月17日/東京・芝1800m)では、前述のヴェロックスや、朝日杯FS(12月16日)2着のクリノガウディー(牡3歳)を破っています。

 ホープフルSにしても、サートゥルナーリアを徹底マークした分、運なく3着に敗れただけ。もう少しスムーズな競馬ができていれば、2着はあったでしょうし、勝ったサートゥルナーリアにも迫っていたかもしれません。

 弥生賞では賞金的に余裕があったので、おそらく本番を見据えての"叩き台"という仕上げだったはず。加えて、雨が降り続いて、刻一刻と馬場状態が変わる難しいレースでした。上位馬は皆、外を回していましたが、ニシノデイジーは内から来ていましたからね。その差もあったと思います。

 鞍上の勝浦正樹騎手は、意識して内を通しているように見えました。これはたぶん、それまでに行なわれていた芝のレースでは、内が伸びていたこともあっての狙いだったのではないでしょうか。

 結果的にはレース直前の降雨量によって、内側の馬場が一気に悪くなり、当レースでは内、外の馬場のよさが逆になってしまったのでしょう。不運だったと思います。

 また、これは想像の域を出ませんが、もしかすると勝浦騎手は、本番前に道悪をどの程度こなすのか確認するために、あえて馬場の悪い内側を選んだのかもしれません。

 もしそうなら、本番で勝ち負けを意識している証拠。そういう雰囲気は少なからず伝わってきました。人気は落とすと思いますが、同馬から目が離せません。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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