アンカツ自信の「3歳牡馬番付」。皐月賞、ダービーの結果が見えた (5ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

小結:ヴェロックス(牡3歳)
(父ジャスタウェイ/戦績:5戦3勝、2着1回、着外1回)

 最も印象に残っているレースは、小倉のデビュー戦(2018年8月5日/小倉・芝1800m)。直線に入っても、騎手が手綱を持ったままで、突き抜けていったからね。正直、あのときは内心で『今年は、これや!』と思った。

 でも、その後が案外だった。勝ち切れないレースが2戦続いた。自分の『これや!』は、少々見込み違いだったかもしれない。

 敗因を分析するうえで参考になるのが、2戦目のオープン特別・野路菊S(2018年9月15日/阪神・芝1800m)。おそらく騎手が競馬を教えようとしたのだろう、一番いいスタートを切りながら、あえて下げた。それでも、直線では逃げる馬の直後まで迫って、抜群の手応えがあった。その際、鞍上も『楽勝』と思ったはずだ。

 ところが、追ってから思ったほど伸びず、2着に終わった。

 もともと、跳びがきれいすぎる馬。こういうタイプは、周りからプレッシャーを受けずに、自分のリズムで走ると、新馬戦のようにめちゃくちゃ強い。でも、野路菊Sのように前で粘る馬たちと叩き合いになったりして、自らのリズムを崩されてしまうと、思ったほど力を発揮できない。まだ、精神面が弱くて、それがレースに出てしまったわけだ。

 でもこの馬は、野路菊Sと続くGIII東京スポーツ杯2歳S(4着。2018年11月17日/東京・芝1800m)と、2回続けて負けたことが、結果的によかったかもしれない。負けて、少し休ませたことで、馬がすごくよくなったような印象がある。前走のオープン特別・若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)も完勝。1頭だけモノが違う、という感じだった。

 そうは言っても、今度は相手が違う。そのレベルが違う相手を敵に回して、はたして自分のリズムで競馬ができるかどうか。好走のポイントはそこにある。

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