安藤勝己の「3歳牝馬番付」。桜花賞、オークスで勝てる馬を決めた (4ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 ダノンファンタジーと同じように後ろからいって、こっちは終始、外、外を回された。それでも、4コーナーを回り切ったところで一瞬、ダノンファンタジーの前に出た。というか、出てしまった、と言ったほうがいいかもしれない。結局、そこから差し返されて、そのまま......。

 もし、自分があのレースであの馬に乗っていたとしたら、もうちょっと仕掛けを我慢した。我慢して、我慢して、直線一気の競馬にかけた。そういう落ち着きと大胆さが、あのレースでは必要だったように思う。そうすれば、ダノンファンタジーとの半馬身差は十分に逆転できたはずだ。

 あと、この馬の場合、父親が一線級の中に入ると切れ味で見劣るバゴ、というのが気になる。とはいえ、4戦して崩れていないというのは、血統では計れないタイプなのかもしれない。また逆に、父親がバゴということで、オークスでも期待ができる。

小結:アクアミラビリス(牝3歳)
(父ヴィクトワールピサ/戦績:3戦2勝、着外1回)

 今年の桜花賞候補には、末脚自慢が多い。なかでも、「こいつはすごい」と思ったのが、この馬。とにかく、エルフィンS(2月2日/京都・芝1600m)は衝撃的だったね。直線最後方から、前をいく各馬を一気にごぼう抜きしていった。あの爆発力は、すごくインパクトがあった。

 ただ、この馬はそのエルフィンSを含めて、本当に強い相手とは戦っていない。その点は気がかりではあるけれども、逆に言えば、そこは未知な部分でもあるから、目前の桜花賞がどうこうよりも、将来的な楽しみがある。その意味で、「小結」という評価にした。

 この馬のように後ろから行く馬は、展開に左右されるし、(末脚が)ハマるかどうかわからない、という弱点もある。そんな本質をわかったうえで評価するのは、この馬の豪快な競馬っぷり。荒削りゆえの魅力を感じるからだ。

 正直、桜花賞では上位評価の馬には敵わないと思う。でも、荒削りな分、伸びしろも大きいから、オークスでは逆転の可能性が出てくる。

 それに、この馬の鞍上がミルコ・デムーロ騎手、という点にも惹かれる。こうした直線一気のタイプは、ミルコに最も合うからね。

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