安藤勝己の「3歳牝馬番付」。桜花賞、オークスで勝てる馬を決めた (3ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

大関:ダノンファンタジー(牝3歳)
(父ディープインパクト/戦績:5戦4勝、2着1回)

 ここまで5戦して、グランアレグリアにしか負けていないわけだから、この馬が「大関」。前走のチューリップ賞も強い競馬だった。

 最初、スタートがよくて、ちょっと折り合いを欠いてしまったけど、すぐに落ち着いて、道中はインを楽に追走していた。ところが、直線に入って「さぁ、これから」というところで、馬群に包まれて、出るところがなくなってしまった。

 並の馬なら、ここで戦意喪失してもおかしくないところ。でもこの馬は、そこから外へ外へと進路をとって、空いたところを見つけると、一気にパワーを全開にして先頭へ。勝負どころで不利があったにもかかわらず、それをものともせずに楽勝した。ああいう競馬ができる馬は強い。

 この馬のいいところは、第一に完成度の高さ。加えて、レースがうまくて、操縦性も高いこと。ゆえに、後方から強襲した阪神JF、先行して抜け出したチューリップ賞と、いろいろな競馬ができて、崩れることがない。デビュー戦では敗れたけれども、桜花賞ではグランアレグリアともいい勝負ができると思う。

 ただこの馬は、見るからに(馬体の)前後が詰まっていて、体形的には距離が持たない印象がある。おそらく、距離は2000mあたりがギリギリではないか。その点からして、桜花賞がメイチの勝負。完成度が高いこともあって、そこを勝たないと、その後は苦しくなるかもしれない。

関脇:クロノジェネシス(牝3歳)
(父バゴ/戦績:4戦3勝、2着1回)

 この馬のいいところは、長くいい脚を使えること。しかも、どんな展開になっても確実に使える。つまり、最後に必ず伸びてくる。

 桜花賞では、おそらく直線一気の終(しま)いの競馬に徹するだろうから、横綱、大関といえども、抜け出すタイミングをわずかでも誤ると、この馬に食われるシーンもありそうだ。

 ここまで4戦して3勝だが、最も強いと思ったのは、唯一2着に敗れた阪神JF。勝ったダノンファンタジーとは半馬身差だったけど、あの差は馬の能力ではなく、騎手が肝心な仕掛けどころを間違っていた気がする。

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