クロノジェネシス陣営には「打倒ダノンファンタジー」が見えている (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 その後、クロノジェネシスはGIIIクイーンC(2月11日/東京・芝1600m)に出走。今度はスタートをきっちり決めて、中団外目を追走して手応えよく直線を迎えた。直線半ばで先頭に立ち、阪神JF3着のビーチサンバの追撃も難なく退け、最後は余力を残してフィニッシュ。クビ差勝ちとはいえ、着差以上の強さを見せた。

 そして、ここから本番の桜花賞に向かう同馬。過去2戦の内容から、陣営の期待も高まっているようだ。その様子を関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「阪神JFは出遅れてしまい、最後によく伸びたとはいえ、ロスのあるレースでした。そこで、陣営としては、クイーンCでは『好スタートから前目で折り合いたい』というテーマを掲げていたそうです。

 実際、レースではそのテーマを見事にクリア。仕上げも8分ほどの、お釣り残しだったようですが、2着馬が来れば来るだけ伸びて、余裕のある勝ちっぷり。その結果から、陣営の本番への手応えはさらに増したようです」

 課題を克服した今、本命ダノンファンタジーとの再戦も楽しみになった。ここまでの走りを踏まえて、先述のトラックマンは「逆転の可能性は十分にある」と語る。

「バゴ産駒には珍しく、切れ味豊かな馬。血統を見れば、3代前にサンデーサイレンスがいて、祖母の姉には末脚を武器にして重賞を4勝しているフサイチエアデールがいます。この辺りの血が強く出ているのかもしれません。

 阪神JFは出遅れがすべて。前走を見ると、一段と切れ味が増しているようでしたから、展開と位置取り次第では、ダノンファンタジーにリベンジを果たしても不思議ではありません」

 かつての敗戦を糧にして、したたかに逆転を狙うクロノジェネシス。持ち前の切れ味に磨きをかけて、今度は頂点を射止めることができるのか。スタートの瞬間を楽しみにしたい。

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