スプリント勝負の高松宮記念は、
4歳の2頭が世代交代へと駆け抜ける

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Yamane Eiichi /AFLO

 3月24日、中京競馬場ではGI高松宮記念(芝1200m)が行なわれる。

"芝短距離戦線"は、昨年の同レース勝ち馬でGIスプリンターズS(中山・芝1200m)も制し、「JRA賞最優秀短距離馬」に輝いたファインニードル、2016、2017年とスプリンターズSを連覇したレッドファルクスが相次いで引退。今年の高松宮記念には、2017年の同レース勝ち馬であるセイウンコウセイも出走を予定しているが、世代交代の様相を呈している。

 その中心になりそうなのが4歳の2頭だ。ダノンスマッシュ(牡4歳/栗東・安田隆行厩舎)はGIII京阪杯(京都・芝1200m)、GIIIシルクロードS(京都・芝1200m)を連勝して今レースに臨むが、この臨戦過程は父ロードカナロアが7年前に辿った道と同じ。父は1番人気に推されながら勝ち馬から0秒1差の3着に敗れているが、そんな父を超えられるかが注目される。

シルクロードSを制したダノンスマッシュシルクロードSを制したダノンスマッシュ ダノンスマッシュのこの2戦は、京阪杯を1馬身3/4差、シルクロードSを1馬身1/4差と完勝。シルクロードSの勝ちタイム1分08秒3は、重賞レースで勝利を積み上げた父と同じという優秀なものだ。

 血統を見ると、父ロードカナロアは祖母がベルデイムSなど米GIを2勝した、米3歳牝馬チャンピオンであるサラトガデュー。一方で、ダノンスマッシュの祖母ハリウッドワイルドキャットも、BCディスタフなどGIを2勝した米3歳牝馬チャンピオンだ。父子ともに祖母が米3歳牝馬チャンピオンという血統背景も共通している。

 ダノンスマッシュは父より3戦多くレースを消化しているが、これは父を超えるためのプラスポイントになり得ると見ている。ただキャリアが多いだけではなく、ダノンスマッシュは父が4歳春時点で未経験だったGIレースに2回出走している。

 2017年の朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)で5着、2018年のNHKマイルC(東京・芝1600m)で7着と、ともに距離が長かったこともあって着外に敗れている。しかし大舞台を走った経験は、GIレース独特の雰囲気に適応できるようになるなど、後に生きることが多い。それゆえ、高松宮記念における"父超え"は十分に可能性があるだろう。

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