「持ったまま8馬身差」の衝撃。ヴェロックスが再びクラシック候補へ (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 こうして、デビュー戦の衝撃も徐々に薄れつつあったが、4戦目に挑んだ若駒S(1月19日/京都・芝2000m)では、過去2戦の汚名を返上する。好位につけてきっちり抜け出すと、後続の追撃も危なげなく振り切って快勝した。

 この勝利で、ヴェロックスは再びクラシックの有力候補に躍り出た。陣営も2戦目、3戦目の黒星はまったく気にすることなく、大舞台への期待は高まっているようだ。その様子を関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「厩舎のスタッフによれば、2戦目は直前の調教があまりよくなくて、状態が今ひとつだったようです。また、3戦目は他馬に2度ぶつけられて、『体勢が大きく崩れた』とのこと。その影響が大きかったみたいですね。大跳びで、まだ体も緩いため、『一度体勢が崩れると、立て直すのに時間がかかる』とスタッフ。過去2戦の敗因ははっきりしており、陣営の評価は新馬のときから高いままです」

 さらに、デビュー戦のパフォーマンスを考えれば、「クラシックでの好走も十分意識できる」と、同トラックマンは続ける。

「デビュー戦のラスト600mを見ると、200mごとのラップタイムが11秒6、11秒3、11秒0と、ゴールへ向かって素晴らしい伸びを見せています。持ったままでラップが落ちないのは、相当な器。素材だけなら、間違いなくクラシックレベルです。

 ただ、若駒Sでも走りのフォームや折り合い面で『まだ子どもっぽいところがあった』とスタッフ。クラシックで勝ち負けに加わるには、本番までにどこまで改善できるかでしょうね」

 ヴェロックスはこのあと、オープン特別の若葉S(3月16日/阪神・芝2000m)を使ってクラシックに向かう。心身が成長し、デビュー戦で見せたあの能力を発揮できれば、大舞台で一発あってもおかしくない。

 小倉で鮮烈な走りを見せたヴェロックスは、クラシックでそれ以上の衝撃をファンに与えることができるのか。まずは若葉Sで圧巻のパフォーマンスを見せてくれることに期待したい。

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