GI馬5頭が集う中山記念は、
この舞台が最もハマる皐月賞馬が面白い

 ともあれ、乗り役の視点で考えれば、その気持ちは非常によくわかります。

 ディアドラに関してもっとも驚かされるのは、牝馬とは思えないタフさと成長力。3歳クラシックのGI桜花賞(6着。阪神・芝1600m)を使うまでに8戦を要し、さらにその後、条件戦(500万下)を挟んで中1週でGIオークス(東京・芝2400m)に向かいます。並の牝馬であれば、その時点でもうガス欠でしょう。

 しかし、条件戦を勝ったあと、ディアドラはさらにパフォーマンスを上げてオークスで4着と健闘。正直、この時点でもかなり驚かされましたが、この馬がすごいのは、ここで終わらないところです。

 夏場は秋まで休養すると思っていたのですが、なんと8月の札幌で復帰。そこで条件戦(1000万下)を快勝すると、そこからGI秋華賞(京都・芝2000m)の前哨戦には、GIIローズS(阪神・芝1800m)ではなく、長距離輸送のあるGIII紫苑S(中山・芝2000m)に臨んだのです。

 そして、そのステップレースで難なく勝利を飾ると、そのまま秋華賞まで制覇してしまいました。さすがに、その直後のGIエリザベス女王杯(12着。京都・芝2200m)まではお釣りが残っていませんでしたが、そのタフネスぶりと成長力は驚異的です。

 思えば、昔の競馬はそんな感じでした。強い馬でも、トライアルから本番まですべてのレースを使っていましたからね。史上初の三冠牝馬メジロラモーヌは、トライアルでも全三冠を果たしています。使って使って成長していく、芯から強くなっていく――そんな雰囲気でした。ディアドラにも似たようなものを感じます。

 ディアドラは昨年、GII京都記念(6着。2月11日/京都・芝2200m)で始動。ドバイターフ(3月31日)で3着と好走しました。その後、休養明け初戦となった昨夏のGIIIクイーンS(7月29日/札幌・芝1800m)は楽勝。メンバーを考えれば、当然の結果でしょう。

 続く一戦は、GII府中牝馬S(10月13日/東京・芝1800m)。「もう間に合わない!?」というところから、凄まじい決め手を繰り出して快勝しました。ルメール騎手はここで、ディアドラから"何か"を感じたと思いますよ。

 叩きつつのタイプではあると思うので、今回、休み明けの分の割引は必要ですが、別定戦で斤量54kgは明らかに有利。格好はつけてくれると思います。

 ちなみに、ドバイではジョアン・モレイラ騎手がディアドラの手綱をとるようです。ドバイの地で繰り広げられる、アーモンドアイ、そしてヴィブロスを含めた"女傑"対決が楽しみですね。

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