1年の総決算。有馬記念は
今年強かった4歳、しかも牝馬で決まり

 菊花賞馬のキセキ(牡4歳)も、この秋の充実ぶりには目を見張るものがあります。ただ、毎日王冠から始動して、この秋4戦目となります。ここまでの3戦すべてで高いパフォーマンスを見せているだけに、そろそろ疲れが出ないか心配されますね。

 昨年10月の菊花賞(京都・芝3000m)を制するまでの過程でも、7月、8月、9月と真夏に月イチで出走し、本番でも極悪馬場を快勝。その分、同馬に対してはタフなイメージがあるので、そこまでマイナスには捉えていませんが、気になる材料ではあります。

 4歳馬は他にも、GI未勝利ですが、GIを勝った馬たちと遜色ないパフォーマンスを見せてきたクリンチャー(牡4歳)とミッキースワロー(牡4歳)の2頭がいます。

 どちらも可能性のある存在ですが、より食指が動くのは、休み明けの前走・ジャパンC(5着)を経てここに臨む後者です。その前走が意外にも初めての左回りだったことを考えると、そこはいかにも叩き台。中山実績は十分ですし、怖い1頭です。

有馬記念での激走が期待されるモズカッチャン有馬記念での激走が期待されるモズカッチャン もう1頭、4歳世代の馬がいます。牝馬のモズカッチャン(牝4歳)です。

 牝馬限定とはいえ、昨年のエリザベス女王杯(京都・芝2200m)を制したGI馬。同じ4歳牝馬のライバルであるディアドラやリスグラシューらの現在の活躍ぶりを鑑みても、ここでも十分にチャンスがあると踏んでいます。

 連覇を狙った前走のエリザベス女王杯(11月11日)では、何の不利もなく運べていたものの、前をいくクロコスミア(2着)を捕らえ切れずに3着。この内容にはさすがに首を傾げてしまいましたが、同レースの前に出走予定だったGII府中牝馬S(10月13日/東京・芝1800m)を回避した影響があったのかもしれません。それを考えると、1回使った今回のほうが数段いいと思います。

 鞍上は師走を迎えてからGI2勝と、ようやく調子が上がってきたミルコ・デムーロ騎手。こういうときの彼は、想像以上の騎乗をするので恐ろしいですよ。

 ということで、今年の有馬記念の「ヒモ穴馬」には、このモズカッチャンを指名したいと思います。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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