平成最後の有馬記念で、「レジェンド」
オジュウチョウサンに馳せる夢

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Yasuo Ito/AFLO

 ともあれ、メジロパーマーはもともと平地でもそれなりの実績を残していた馬だったのだ。

 それに比べて、オジュウチョウサンの障害を走る前の平地の成績は2戦2敗。それも、デビューしたばかりの2歳時における結果で、新馬戦11着、未勝利戦8着と、ともにほとんど見せ場なく終わっている。

 だが、オジュウチョウサンは障害に転向すると、5歳になって本格化。2016年春の障害GI中山グランドジャンプ(中山・障害4250m)から破竹の9連勝を飾り、そのうちGI勝ちも5つある。

 障害レース界では、いわば"名馬"。その実績も、勝ちっぷりも、歴代障害馬の中でも「最強」と言われる、フジノオーやグランドマーチスと肩を並べる存在と言っていい。

 ちなみに、両馬はともに中山大障害を4連覇。フジノオーは日本馬で唯一、世界最高峰の障害レース・グランドナショナル(イギリス)に挑戦した馬で、本場フランスの障害レースでも2勝を挙げている。片や、グランドマーチスは、障害馬の中で唯一、競馬の殿堂入りを果たした馬だ。

 オジュウチョウサンは、まさにそんな"レジェンド"たちの域にある。

 一方、メジロパーマーは障害レースではわずか2戦したのみ。初障害となった未勝利戦では2着馬をぶっちぎって先々に期待を抱かせたものの、次の1戦で2着となり、早々に障害馬としてのキャリアを終えている。

 障害馬としてのメジロパーマーは、致命的な欠点があった。ハードルを越える際の飛越が低く、常に落馬の危険がつきまとっていたのだ。そこで陣営が、「このままでは大きなアクシデントを招きかねない」と思って、すぐさま平地への戦いに戻したのである。

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