マイルCSは女の決闘に注目か。牝馬3頭の血統に好材料が揃っている

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo/AFLO

 11月18日、京都競馬場では秋のマイル王決定戦・GIマイルチャンピオンシップ(芝1600m)が行なわれる。

 今年は、同レース連覇を狙うペルシアンナイト、昨年の皐月賞馬アルアイン、5月のNHKマイルC馬ケイアイノーテック、6月の安田記念馬モズアスコットなど、7頭のGI馬が勢揃い。3歳馬が4頭登録しているように初対戦の馬も多く、興味深い一戦だ。

 勝ち馬の血統を見ると、過去の勝ち馬と似たような血統の馬が勝つことが多い。父系で言うと、サンデーサイレンス産駒は2003年デュランダルから2007年ダイワメジャーまで5連覇を果たしていて、ディープインパクト産駒は過去6年で3頭が勝利を収めている。今年の出走予定馬からも、過去の勝ち馬と共通点のある馬を探してみよう。

 最初に挙げたいのはアエロリット(牝4歳/美浦・菊沢隆徳厩舎)だ。

昨年のNHKマイルCを制したアエロリット昨年のNHKマイルCを制したアエロリット このレースでは勝ち鞍のないクロフネ産駒だが、いとこミッキーアイル(父ディープインパクト)は2016年の勝ち馬。しかもアエロリットは、ミッキーアイルと同じく、3歳時にGINHKマイルC(東京・芝1600m)を勝っている。脚質的にも、2頭とも逃げまたは先行が得意と似通っている。

 アエロリットの牝系は世界的にも活躍馬多数の名牝系で、日本ではハーツクライ(有馬記念、ドバイシーマクラシックで勝利)、ラッキーライラック(最優秀2歳牝馬)、ノンコノユメ(フェブラリーSで勝利)などが出ている。ハーツクライ以外の4頭は芝、ダートを問わずにマイルのGIを勝っており、この距離は得意条件だ。

 4歳を迎えた今年、GI安田記念(東京・芝1600m)でクビ差2着、そして前走のGII毎日王冠(東京・芝1800m)では、約4カ月ぶりの休み明けながら、1分44秒5の好時計で逃げ切っている。かなりの地力強化が感じられ、2つ目のGI制覇の可能性は十分だ。

 続いてはジュールポレール(牝5歳/栗東・西園正都厩舎)。本馬は最も近い間柄と言える兄のサダムパテック(父フジキセキ)が、2012年のマイルチャンピオンシップ勝ち馬という血統だ。さらに父ディープインパクト馬が2013年トーセンラー、2014年ダノンシャーク、2016年ミッキーアイルと3頭の勝ち馬を出しており、父系も母系も関連性が高い。勝てばこのレース初の"兄妹制覇"となる。

 ジュールポレールはこの春、5歳にしてGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で重賞初制覇。前走のGII府中牝馬S(東京・芝1800m)は0秒3差の4着と敗れたが、ヴィクトリアマイルを勝った時もGII阪神牝馬S(阪神・芝1600m)5着から巻き返しており、叩いての変わり身に期待したい。

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