長距離レースの菊花賞は血統で見る。激走するのはこの2頭! (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo/AFLO

 現在の日本の長距離戦はスタミナだけではなかなか勝てないが、グロンディオーズは芝2000mの信濃川特別で上がり3Fを33秒1、東京芝2400m戦でも上がり3Fを34秒2という瞬発力を見せて勝利している。昨年の勝ち馬キセキも、信濃川特別を上がり3F32秒9の瞬発力で差し切っており、グロンディオーズも最近の長距離戦に向くタイプと言える。

 鞍上は"マジックマン"ジョアン・モレイラ騎手。混戦の時は騎手の力量も大きく結果を左右されることがあるので、これ以上ないパートナーだ。

 もう1頭は、タイムフライヤー(牡3歳/栗東・松田国英厩舎)を挙げたい。

 昨年のGIホープフルS(中山・芝2000m)を勝った実績馬だが、今年に入ってからはOP若葉S(阪神・芝2000m)5着、GI皐月賞(中山・芝2000m)10着、GI日本ダービー(東京・芝2400m)11着。そして、秋初戦のGII神戸新聞杯でも6着と精彩を欠いている。

 しかし、その血統はこの舞台で狙いたくなる魅力がある。父ハーツクライは2011年の菊花賞2着馬ウインバリアシオンなど、数々のステイヤーを出した種牡馬。また、母の父ブライアンズタイムは、父として1994年ナリタブライアン、1995年マヤノトップガン、母の父として2009年のスリーロールスと、父と母の父で3頭の菊花賞馬を出している。

 さらにタイムフライヤーは、伯父にGIジャパンCダート馬のタイムパラドックス、母のいとこにGI天皇賞・春(京都・芝3200m)、GI有馬記念(中山・芝2500m)を勝ったサクラローレルがおり、配合、牝系ともに長距離の大レース向きなのだ。2歳時のOP萩S(京都・芝1800m)では、重馬場で4馬身差の圧勝を見せているように、道悪も苦にしないのも心強い。

 鞍上の和田竜二騎手は、昨年の同レースで13番人気のポポカテペトルを3着に、2008年に9番人気ナムラクレセントを3着に、2007年には6番人気アルナスラインを2着に持ってくるなど、レースとの相性は良好。今年は宝塚記念を7番人気ミッキーロケットで勝利し、スプリンターズSでは11番人気ラブカンプーで2着に入っており、GIで素晴らしい騎乗を見せている。タイムフライヤーも人気を落とすことが予想されるだけに、それを裏切る激走に期待しよう。

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