長距離レースの菊花賞は血統で見る。激走するのはこの2頭!

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo/AFLO

 10月21日、京都競馬場では牡馬クラシックの最終戦・GI菊花賞(芝3000m)が行なわれる。

 今年はGI日本ダービーを勝ったワグネリアンこそ不在だが、皐月賞馬エポカドーロ、GII神戸新聞杯(阪神・芝2400m)でワグネリアンに次ぐ2着に入ったエタリオウ、GIホープフルS(中山・芝2000m)勝ち馬タイムフライヤー、GIIセントライト記念(中山・芝2200m)ジェネラーレウーノなどの実績馬が出走。混戦必至の興味深い一戦だ。

 昨年のホープフルSを勝利したタイムフライヤー 昨年のホープフルSを勝利したタイムフライヤー 菊花賞は、牡馬クラシック2戦目のGI日本ダービーから600m延長される3000mで、JRAでも数少ない長距離戦。いつにも増して血統が注目されるレースでもある。最近は名スプリンターだったロードカナロア産駒のアーモンドアイが、2400mのオークスを含めた「牝馬三冠」を制したように、スピードタイプの血統馬が距離をこなすケースも多い。だが、このレースでは長距離血統がモノをいう結果になることも多いため、今回は血統的視点から「長距離向きの馬」をピックアップしていこう。

 最初に挙げたいのはグロンディオーズ(牡3歳/美浦・田村康仁厩舎)だ。

 父ルーラーシップは昨年の菊花賞馬キセキを出したほか、今年のGIオークス(東京・芝2400m)2着のリリーノーブル、芝2400mで4勝しているホウオウドリームなどを出す長距離タイプの種牡馬。JRAでの全177勝中、70%を超える125勝が1800m以上で、今年の芝2400m以上での勝利数はディープインパクト、ステイゴールドに続く3位。勝率は18.6%と、その2頭を上回る数字を残している。

 グロンディオーズは母系も長距離向きだ。母シェリールは芝2000mの3勝を含む4勝を挙げ、グロンディオーズの半兄ムスカテール(父マヤノトップガン)は、芝2500mのGII目黒記念勝ち馬。全兄ヒシマサルも、芝2400mの白鷺特別を勝利している。

 さらに、伯父にアイルランドのダービー(芝約2400m)を制したウイングドラヴがいて、祖母の父トップヴィルも2400mで行なわれていた頃のフランスダービー勝ち馬。その産駒には、「英国版の菊花賞」と言えるGI英セントレジャー(芝約2920m)を勝ったトゥーロン、3100mのフランスGIロイヤルオーク賞を勝ったトップサンライズなど、多くのステイヤー(長距離巧者)を出しているのだ。トップヴィルは母の父としても、凱旋門賞やフランスダービーを勝ったモンジューなどの欧米GI馬を続出させている。

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