スプリンターズSは、千直育ちの「お姫様」が実績馬を蹴散らしていく (4ページ目)

 その千直で、準オープン、オープンを連勝。続くGIII CBC賞(7月1日/中京・芝1200m)では不利があって大敗(9着)を喫したものの、直後の千直重賞、GIIIアイビスサマーダッシュ(7月29日/新潟・芝1000m)では、再び完勝しました。

 このときの勝ち方が、千直ではあまり考えられないものでした。ただの差し切りではなく、突き抜けていったのです。まさしく瞬発力の差です。

 千直を使って、大きく馬が成長することがあるのですが、このダイメイプリンセスはその典型と言えそうです。アイビスSDのあと、前走のGIII北九州記念(8月19日/小倉・芝1200m)でも僅差の2着。夏のスプリント戦線を賑わせてくれました。

 ここまでくれば、普通ならサマーシリーズ()のスプリントチャンピオンを狙って、セントウルSに駒を進めるところでしょう。優勝すると、4000万円の報奨金を得られるため、例年チャンスのある馬は大概そこを使ってくるものです。ところが、なぜか同馬はそれをパスしてきました。
※夏競馬を盛り上げるために2006年から行なわれている重賞のシリーズ戦。6月~9月に開催される指定重賞での成績をポイント化し、その総合得点を競うもの。芝のスプリント戦(1000m~1200m)を対象にしたものが『サマースプリントシリーズ』、芝1600m戦を対象にしたものが『サマーマイルシリーズ』、芝2000m戦を対象にしたものが『サマー2000シリーズ』。

 考えうるに、力をつけた今なら、GIの舞台でも「チャンスがある」と陣営が踏んだのではないでしょうか。ゆえに、サマースプリントシリーズのチャンピオンがかかるセントウルSをあえてパスして、GI一本に照準を合わせてきたように思います。セントウルSを使っては、さすがにGIでオツリは残ってないでしょうからね。

 馬込みをさばきながら、抜群の決め手を繰り出せる豪脚を持つダイメイプリンセス。その決め脚は、それこそ千直で研かれてきたものです。大舞台でも、その武器を目いっぱい炸裂させてほしいですね。

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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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