スプリンターズSは、千直育ちの「お姫様」が実績馬を蹴散らしていく (2ページ目)

 今年は、高松宮記念(8着)にしろ、安田記念(9着。6月3日/東京・芝1600m)にしろ、昨年ほどのパフォーマンスを見せていないため(昨年は高松宮記念3着、安田記念3着)、さすがに陰りは感じるものの、脚質的に展開の影響を受けやすいタイプ。春のGI2戦はその展開がまったく向かなかったことも事実です。

 もちろん、全盛期であれば、それでも差し込んできていたので、物足りなさはありますが、好走できるだけの能力はまだあると思います。少しでも展開が向けば、チャンスはあるでしょう。

 当初騎乗予定だったミルコ・デムーロ騎手が騎乗停止になったことで、急遽鞍上が替わって、戸崎圭太騎手が手綱を取ることになりましたが、戸崎騎手は短距離戦に強いジョッキーですし、レッドファルクスを管理する厩舎との相性もいいです。戸崎騎手が空いていて、逆にラッキーだったとも言えます。GIにおける突然の代打で、トップジョッキーが空いていることは少ないですから、なおさらです。

 実績馬で言えば、有力視されている馬がもう1頭います。レッツゴードンキ(牝6歳)です。

 GI勝利は3歳時の桜花賞まで遡(さかのぼ)らなければなりませんが、昨年の高松宮記念から、昨秋のスプリンターズS、そして今春の高松宮記念と、目下スプリントGIでは3連続2着。しかも、3戦ともほんの少しのことで栄冠に手が届いていたのではないかと思わせるほど、着差はわずかで、勝ちに等しい内容ばかりでした。

 ここでも、実力的に劣っている、ということはありません。

 以前は折り合いをつけるのに苦労し、位置取りが後ろになることが多かったのですが、近年ではその辺りも解消されたのでしょう。ある程度の位置でレースができるようになって、それが好走に結びついています。

 ただ、この馬の好走パターンは、好位置の内でじっくりと脚をタメて、直線も内から抜け出してくるイメージ。それだけ器用な脚もあるわけですが、外に回すと、前走のGIIIキーンランドC(5着。8月26日/札幌・芝1200m)のようなレースとなって、伸び切れずに終わってしまう可能性もあります。

 道中、どこの位置を取るのか。それが、レッツゴードンキの勝敗を左右しそうです。

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