落札総額は過去最高も、今年のセレクトセールは高額馬戦線に異状あり! (3ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 グレイトパールなどを所有するカタール王族、シェイク・ファハド・アル=サーニ殿下は2日目の終盤にストロングレダの2018(牡0歳、父キンシャサノキセキ)を1500万円で落札。「ディープインパクト産駒はいい馬が多いですが、やはり高額ですね。アドバイスを受けながら、自分の目で選んだ馬をいい価格で購買できて満足しています」と語り、上場したライトニングパールの2018(牡0歳、父ディープインパクト)も1億5000万円で落札され、笑顔でセール会場をあとにしていた。

 今年のセールは、開始前から「場」が熱気を帯びていたことが印象深い。というのも、毎年恒例である1日目のセリ開始前に行なわれる、この1年間でGIを勝利したセール出身馬への表彰が、今年は7頭にも上ったからである。

 このうち、海外でのGI勝ちが2頭。また、7頭のGI勝ち馬の父の内訳がハーツクライ(スワーヴリチャード、ヨシダ)、ディープインパクト(トーセンスターダム)、ステイゴールド(レインボーライン)、ハービンジャー(ディアドラ)、オルフェーヴル(エポカドーロ)、キングカメハメハ(ミッキーロケット)と多岐にわたっていた。つまり、ディープインパクト産駒以外でもこのセレクトセールに「大当たり」が多く含まれていることが証明されたのである。

 その熱気は、表彰に続いて登場した最初の上場馬であるサマーハの2017(牡1歳、父ハーツクライ)ですぐに形となって現れる。なんと、落札額は1億3500万円。確かに血統的にも、半兄のシャケトラ(牡5歳、父マンジャッタンカフェ)が昨年の日経賞を勝つなど活躍しているため、相応の価格がつくことは予想できた。さらに、セール開始後の最初の上場馬は"縁起物"であり、ご祝儀価格のような値段がつくことは珍しくはない。しかし、億を超えるのはセレクトセールの21年の歴史で初めてのこと。

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