宝塚記念は実績馬に不安あり。
元気ビンビンな上がり馬で前期総決算だ

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 今年も早いもので、もう宝塚記念(6月24日/阪神・芝2200m)です。上半期の総決算となりますね。

 ただ「総決算」とはいえ、時期的なものもあり、年末の有馬記念とは違って、例年そこまでの豪華メンバーがそろうことはありません。実際にフルゲートで行なわれることは極めて少なく、10頭前後の出走馬で行なわれることも多々あります。昨年も11頭立てと少頭数でしたね。

 今年は5月に一時暑い日が続いたときがありましたが、6月に入ってからは気温30度を超える日がほとんどなくて、例年よりも過ごしやすい日が多いように感じます。その分、馬の調整自体はしやすいのでしょう。今回の宝塚記念にも、16頭の出走馬が名を連ねました。

 一方でこの春、GI戦線をはじめ、重賞戦線で猛威を振るってきた4歳世代の出走馬は、キセキ(牡4歳)とダンビュライト(牡4歳)の2頭のみ。ダービー馬レイデオロをはじめ、皐月賞馬のアルアイン、さらにはスワーヴリチャード、ペルシアンナイトといったこの世代のGI馬が出走してこなかったのは、少し残念です。

 このように4歳世代の実績馬がほぼ出走しないなか、本来であれば、そのひと世代上の王者であるサトノダイヤモンド(牡5歳)が、ここでは"横綱"にならなければいけないのですが、昨秋の海外遠征以降がさっぱり。その冴えない成績からは、今回も好走するイメージが浮かびづらいところです。

 帰国初戦となったGII金鯱賞(3月11日/中京・芝2000m)の際にも触れましたが、今は昔ほど検疫で時間を要さず、比較的海外遠征もしやすくなっているとはいえ、やはり相当な体力と精神力が求められます。性格にもよると思いますが、過去にも海外遠征を敢行して以降、なかなかスランプから脱出できない馬がたくさんいました。

 サトノダイヤモンドにとって、昨秋の海外遠征は過酷な経験になってしまったのでしょうか......。現状をみると、どうもそんな気がしてなりません。

 金鯱賞では、メンバー最速の上がりをマークして3着となったサトノダイヤモンド。見ようによっては、「やはり力がある」と思えるかもしれませんが、1000mの通過タイムは1分3秒という超スローペースで、あまり負荷のかからないレースでした。しかも、2着は楽に逃げた8歳馬のサトノノブレスですからね。そこに、キタサンブラックと接戦を演じていた頃の"凄み"はまったく感じられませんでした。

 前走のGI大阪杯(4月1日/阪神・芝2000m)の敗戦(7着)も、おおよそ想像していたとおりでした。今回は主戦のクリストフ・ルメール騎手に戻るということで、復活への淡い期待はありますが、人気が落ちないようなら、馬券的には食指が動きません。もし人気を落としてくるようなら、相手として少しは考えてもいいかもしれませんが......。

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