宝塚記念、香港馬ワーザーをわざわざ連れてきたムーア師に勝算あり! (3ページ目)

  • 土屋真光●取材・文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 過去、2006年と2007年の安田記念に管理馬を出走させているムーア調教師。2006年にはジョイフルウィナーが3着入線を果たしている。しかし、その後は安田記念などに管理馬を登録させても、実際に出走させることはなかった。ムーア調教師御用達の飼料が、日本では使用できないなどの理由があったからだ。

 ゆえに今回も、当初は日本メディアに対するリップサービスだろうと思われたが、違った。ムーア調教師は"本気"だった。

「この時期、日本は梅雨。馬場がこの馬に向く。しかも、昨年のキタサンブラック(9着惨敗)のように、日本のトップホースは決してピークの出来にない。そうだろう?」

 ワーザーの渋った馬場での高い適性を示し、さらには宝塚記念に向かう日本の馬たちの傾向や状況を綿密に分析していたのだ。

「この馬は、もっと勝つべき馬なんだ」

 そう付け加えたムーア調教師。同師にとって、ワーザーがその資質に見合った成績を残すことが、当面の目標のひとつのようだ。そして、それを果たすことができるのが、日本である――という確信が、ムーア調教師自らがずっと忍ばせていた"カード(日本遠征)"を切らせた。

 ワーザーは復帰後、予定どおり宝塚記念前のひと叩きとして、地元のGIIIライオンロックトロフィー(6月3日/シャティン・芝1600m)に出走。直線で再三行き場を失って6着に敗れたものの、その分、馬にはダメージが残らなかった。

 いい"ガス抜き"となったレースを消化して、ワーザーは6月14日に日本へと出発した。その翌日、シャティン競馬場で改めてムーア調教師に話を聞いた。

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