注目スワーヴリチャードはバッサリ。安田記念を勝つ4歳馬は別にいる (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Yamane Eiichi /AFLO

 スワーヴリチャードが過去に出走した10戦で、1000mの通過タイムが最も速かったのがGI皐月賞の59秒0となり、このレースでは6着に敗れている。それを考えれば、1000m通過タイム57秒台が多いこの安田記念の流れに対応できるかは疑問だ。

 ただ、スワーヴリチャードにはコース適性という大きなアドバンテージもある。東京コースでは4戦して2勝、2着2回。すべて重賞で、共同通信杯とアルゼンチン共和国杯を勝っている。また、血統的にも同じハーツクライを父に持つジャスタウェイが2014年のこのレースを勝利している。不安材料と強調材料が同居するが、筆者としては、今回は速い流れの経験不足が響き、勝ち切るまでは難しいと見る。

 同じハーツクライ産駒では、牝馬のリスグラシュー(牝4歳/矢作芳人厩舎)も注目の存在だ。同馬は昨年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)2着、GI秋華賞(京都・芝2000m)2着など、3歳牝馬三冠戦線の中心的存在として活躍。今年に入り、GIII東京新聞杯(東京・芝1600m)を勝ち、GII阪神牝馬S(4月7日/阪神・芝1600m)3着、GIヴィクトリアマイル(5月13日/東京・芝1600m)2着を経て、ここに出走してくる。

 本馬はスワーヴリチャードとは異なり、マイル実績は十分で、全13戦中8戦して2勝2着4回3着2回。重賞はGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)と前述の東京新聞杯の2勝を含み、すべて馬券圏内に入っている。東京コースで実績があるのと、東京新聞杯で牡馬相手に重賞を勝っているのは大きな強みだ。

 不安点を挙げるとすれば、ヴィクトリアマイルからのローテーションだろうか。2つのレースは同じ条件で関連性も高そうに思われるが、過去に延べ19頭が同パターンで出走して2勝、3着1回とそれほど成績はよくない。中2週のローテーションなどが影響しているのだろう。リスグラシューが中2週の間隔でGIに出走するのは初めてで、そのうえ今年4戦目。目に見えない疲れが心配だ。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る