エポカドーロが「皐月賞は恵まれた」
を覆し、ダービーも勝つ可能性は?

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 エポカドーロに有利に働いたことは、まだある。レース当日の、重に近いやや重の馬場がそうだろう。

 エポカドーロ自身は苦にしないが、逆に、切れ味を身上とする後方待機の有力馬たちには、末脚が鈍る結果となった。

 なおかつ、この馬は直線の短いコースが滅法得意なこともある。

 未勝利勝ちしたのは京都だが、内回りのマイル戦だった。小回りの小倉もしかりである。反対に、同じ京都でも外回りの1800m戦で行なわれたデビュー戦は3着に負けている。

 こうした同馬の脚質を考えれば、当然中山はうまい。そのコース巧者ぶりが皐月賞で存分に生きた。

 先述の専門紙記者によれば、これらエポカドーロにとって好都合な条件となるかなりの部分を、藤原調教師はレース前から読んでいたという。そのうえでの「勝つなら皐月賞」という発言だった。

 とはいえ、単に「恵まれた」だけでクラシックは勝てない。それも、ギリギリ勝ったわけではない。

 ゴール前、後続にやや詰め寄られるシーンがあったものの、それでもそこから、さらにギアを入れ直して差を広げた。結果は、2着に2馬身差。これは、さすがに「恵まれた」というだけの着差ではない。

 皐月賞を2馬身以上の着差で勝ったのは、2012年のゴールドシップ以来のこと。目立たず、地道に、ではあっても、エポカドーロはレースを経験するごとに着実に力をつけ、地力をアップさせてきたことは間違いない。

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