エポカドーロが「皐月賞は恵まれた」
を覆し、ダービーも勝つ可能性は?

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 でも、競馬にいくと、これがなかなかいい。スピードに見どころがあって、デビュー戦こそ敗れましたが、2戦目と3戦目は圧勝しましたからね。その結果を受けて、2勝目のあとに皐月賞トライアルのスプリングS(3月18日/中山・芝1800m)を使った。そこで、タイム差なしの2着。このレースのあと、藤原調教師はこう言っていました。『この馬が(クラシックを)勝つとしたら、皐月賞だな』と」

 期待の評判馬たちは、体調が整わなかったり、思ったほどには成長を見せられなかったりして、クラシックを目前にして足踏み状態が続いていた。エポカドーロはその間隙を突くように、実戦タイプの強みを発揮して徐々に頭角を現してきたのだ。

 それでも、藤原調教師のように「勝つなら皐月賞」とまで評価する人は、さほど多くはなかった。皐月賞における7番人気、単勝14.5倍という数字が、そのことを物語っている。

 さらに、実際に皐月賞を勝ってからも、"急上昇"というほど、エポカドーロの評価は上がっていない。

 なぜなら、皐月賞の勝利は、実力というよりも、むしろ展開や馬場など、いろいろと「恵まれた」と見る声が大きかったからだ。

 確かにエポカドーロは、今年の皐月賞における"ベストポジション"にいた。ハイペースで3頭の馬が先手を取るなか、そこから少し離れた後方馬群の先頭で、終始気持ちよく走っていた。加えて、後方に控える人気馬たちがその後ろにいて、お互いに"出"をうかがって動けずにいた。

 そして終盤、ハイペースで逃げた3頭は失速し、後方の有力馬たちはけん制し合っていた分、仕掛けが遅れた。レースは、まさにエポカドーロに「勝ってください」と言わんばかりに流れたのだ。

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