ブラストワンピースのダービー戦略。
「異例のローテ」にはワケがある

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 そんな事情があったからこそ、木實谷氏はブラストワンピースが挑むダービーへの思いをこう語った。

「この3戦は本当に運も向いて、うまくここまできたと思います。同じように素質がありながら、ダービーにたどり着けなかった馬もいますから。

(ブラストワンピースは)いろいろなスタイルの競馬をしていますし、この舞台も経験済み。馬込みから抜け出すのも問題ないので、レース展開への不安はありません。あとは、馬場と枠順が噛み合ってくれればいいですね」

 ちなみに、同馬の母ツルマルワンピースは、ノーザンファームではなく、他の牧場で生まれた。現役引退後、ノーザンファームに繁殖入りし、彼女が最初に産んだ子がブラストワンピースである。さらに血統をたどっていくと、3代母のエラティスもノーザンファームで繁殖生活を送っていた。

 こういった背景を思い、「かつてノーザンファームにいた血統から、巡り巡ってこういう活躍馬が出るのは感慨深い」と木實谷氏は語る。

「ダービーは、お産のスタッフ、イヤリング(離乳から1歳までの管理をする牧場)のスタッフ、デビュー前の育成を行なうスタッフ......みんなが目指している舞台です。この馬に限らず、うちから出走するすべての馬が、いい走りをしてくれればいいですね。もちろん、『無事に走ってほしい』という気持ちが大前提にありますが」

 無敗の戴冠。達成すれば、それだけでも十分に快挙だが、同時に異例とも言えるローテーションも語り草となるだろう。

 ブラストワンピースは、新たな歴史を刻むのか。その挑戦を、しかと見届けたい。

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