NHKマイルCは今年も牝馬。中11週のテトラドラクマが不気味だわ (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Ito Yasuo /AFLO

 血統は父ディープインパクト、母はオーストラリアでGIを4勝したモシーンという良血。母は重賞勝ちが1410~2500mという幅広い距離適性の持ち主で、重賞6勝のうち3勝が1600m。この距離は当然適条件だ。牡馬混合重賞は初となるが、レース内容からは十分通用しそうだ。

 アンコールプリュはデビュー2連勝でつわぶき賞(12月16日/中京・芝1400m)を勝ち、3戦目のGIIフィリーズレビュー(3月11日/月阪神・芝1400m)で2着。後方からの追い込みがセールスポイントで、つわぶき賞もフィリーズレビューもその末脚が印象的だった。

 この馬もディープインパクト産駒で、10歳上の兄ブラックシェル(父クロフネ)はこのNHKマイルCで2着に入り、中2周で挑んだGI日本ダービーで3着に入った活躍馬。この舞台でその血が騒ぐ可能性もありそうだ。

 桜花賞以外の臨戦過程をたどった牝馬は2頭。テトラドラクマ(牝3歳/小西一男厩舎)は2月12日のGIIIクイーンC(東京・芝1600m)を勝って以来の出走となる。過去のこのレースの勝ち馬の中で、最も前走からの間隔が空いていたのは2014年のミッキーアイルで中9週だった。今回はそれを上回る中11週となるが、今年の桜花賞では、アーモンドアイが1月のシンザン記念以来となる中12週のレース間隔から勝利を収めている。調教技術の進歩などから過去の常識は通用しなくなってきており、あまり気にしないほうがいいだろう。テトラドラクマはアーモンドアイと同じく、福島県のノーザンファーム天栄で調整されているというのも心強い。

 テトラドラクマは血統も魅力的だ。父ルーラーシップは香港GIクイーンエリザベス2世C(シャティン・芝2000m)の勝ち馬で、産駒に菊花賞馬キセキや、今年の3歳馬ではGI皐月賞2着のサンリヴァル、GI桜花賞3着のリリーノーブルを出している。そして、祖母の姉シーキングザパールは1994年のNHKマイルC勝ち馬。このレースは2015年のクラリティスカイが1996年の勝ち馬タイキフォーチュンと同牝系、2017年の勝ち馬アエロリットが2014年の勝ち馬ミッキーアイルのいとこだったように、過去の勝ち馬の近親の成績が非常に良いのだ。

 テトラドラクマは東京芝1600mで3戦2勝、持ちタイムも1分33秒7と優秀。ここでも好勝負必至だろう。

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