天皇賞・春よりカンタンだ。8頭立てQE2世カップでGWはウハウハ (3ページ目)

  • 土屋真光●文・写真 text & photo by Tsuchiya Masamitsu

 こんなこともあった。水曜日には、パキスタンスターに騎乗するため、ヨーロッパからスポット参戦する予定だった、シウベスタ・デ・ソウサ騎手の騎乗がキャンセルとなった。伝え聞いたところでは、渡航スケジュールの不備が理由とのことだが、これによって同馬の鞍上には、別のレースでスポット参戦するオーストラリアのケリン・マケボイ騎手が急遽配されることとなった。前述したように、難しいところのある馬のため、テン乗りでどこまでコントロールできるか気になるところである。

 日本調教馬もハプニングに見舞われた、芝コースで追い切る予定だったアルアインが、1コーナーを回ったあたりから大暴れを始めて、まさかの調教拒否。なだめてもすかしても動かず、これは厩舎に戻りたい意思の表れだと察した池江泰寿調教師は、厩舎方面へとのびる1000mの直線コースを逆走することを指示。インターバル形式で2本消化することで、どうにか狙い通りの負荷をかけることができたようだ。ただ、この様子は世界中にリアルタイムで配信されて、よくも悪くも大きな反響を呼んだことだろう。

 ここまで、さまざまな事件を列挙してきたが、実際に予想を考えたときにはどうだろうか。下馬評では、地元のピンハイスターとタイムワープが1、2番人気で、アルアインとパキスタンスターが3、4番人気、ダンビュライトが5番人気と見られている。
 
 実績、持ちタイムからはGIを2勝して、コースレコードホルダーのタイムワープが浮上する。しかし、2走前にそのレコードを叩き出した反動か、続くチェアマンズトロフィーでは10着に惨敗。また、調整過程もこの馬本来のものよりいささか軽めに思われる。

 では、その他の有力馬はどうか。"縁起"を担(かつ)ぐなら、ミソのついた馬は積極的に本命にしたくない。そこで残るのは、新星ピンハイスターである。

 前走の香港ダービーは、上がり800mで44秒9という驚愕の末脚を繰り出して、最後方から一気に突き抜けた。戦績を見ると、それ以前は1400mまでしか勝ち鞍がないが、ダービーのひとつ前のレースを勝った時点で、モレイラ騎手がダービー挑戦を進言したのだそうだ。ダービーではライアン・ムーア騎手が騎乗したが、今回は再度、モレイラ騎手に手綱が戻る。日本では嫌われそうな戦績だけに、香港ほどの人気にならなければ、「おいしい」配当になるのではないだろうか。

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