皐月賞の人気馬が差し届かない!
そのとき前に残るのは「あの馬」だ

 弥生賞は、見た目にはダノンプレミアムに完敗でした。しかし、初の中山コースで、陣営としては「本当に勝ちたいレースはこのあと」という意識があったと思います。その分、鞍上の福永祐一騎手も先を見据えて、脚を測っているような乗り方をしていました。

 そう考えると、決して着差ほどの能力差はなかったと思います。折り合いをつけて、馬に我慢を覚えさせるレースができたことも、収穫になったのではないでしょうか。この経験を本当に生かそうとしているのは、もしかするとさらに先、日本ダービー(5月27日/東京・芝2400m)なのかもしれませんが、皐月賞でも勝利を狙える存在であることは間違いありません。

 ただし、ライバルも力があります。ステルヴィオとキタノコマンドールの2頭は、ワグネリアンともほとんど実力差はないと思っています。

 ステルヴィオは、桜花賞を勝ったアーモンドアイと同じロードカナロア産駒。ゆえに、距離を不安視する声も少なくないようですが、トライアルのスプリングS(3月18日/中山・芝1800m)では、最後までしっかりと脚を伸ばして、勝ちパターンにあった2着エポカドーロをきっちり差し切りました。あの内容なら、皐月賞の2000mは十分に対応できるでしょう。

 最終的に挑戦することはありませんでしたが、ロードカナロア自身も、僕は2000m戦でも通用すると見ていました。最後の秋は、天皇賞・秋(東京・芝2000m)に挑んでほしい、と思っていたほどです。

 一方、2戦2勝のキタノコマンドールは、血統的なスケールや、ミルコ・デムーロ騎手が騎乗するという点でも魅力はありますが、何より前走のすみれS(2月25日/阪神・芝2200m)が圧巻でした。キャリア1戦の馬とは感じさせないほど、非常に強い内容だったと思います。

 今回も、わずか2戦でのGI挑戦、大幅な相手強化や関東への輸送など、クリアすべき課題は引き続き多いですが、それでもポテンシャルの高さで何とかしてくれるのではないか......。そう感じさせるムードが、同馬にはあります。

 この3頭は、本当に甲乙つけ難く、拮抗した力関係にあると思います。それこそ、ダノンプレミアムが不在の中、展開ひとつ、乗り方ひとつで、結果は変わってくるのではないでしょうか。

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